立川新の「大内刈り」ポイント取ってもらえない事件から考える 「技」採点競技としての柔道の難しさ。 [スポーツ理論・スポーツ批評]

 昨日の世界柔道2018、男女混合団体戦、日本は見事な内容で優勝した。中で一番厳しい戦いだったのが、準々決勝、地元アゼルバイジャン戦。そして、その中でも、もし落としていたらまずかったのが、ゴールデンスコア3分13秒までかかった、立川新vsオルジョフ戦。最後、大内刈り、技ありできまったのだが、この技、本当なら一本をとっておかしくない。しかし、それだけではない。実は、この試合、開始15秒で、まずポイントを取ってもおかしくない大内刈りで相手を横倒しにしている。が、ポイントなし。さらにゴールデンスコアに1分23秒、完全に一本ある大内刈り、少なくとも柔道を知っている人なら全員が技あり以上を付けるだろう技に、ポイントなし。そして、最後の完全な一本大内刈りも、技ありどまり。
 この試合の審判、見た目、東アジア系の女性審判(日本人は日本の試合の審判はしないはずなので、モンゴル中国韓国北朝鮮か、旧ソ連のカザフとかあたりの人かと思うのだが)なのだが、「地元びいき、アンチ日本の判定か」などと騒ぐつもりは、私には全然なく、そうではなくて、この審判、おそらく、「本当に大内刈りが決まるとどうなるか」を知らなかったのだと思う。と書くと「えー、大内刈りみたいなポピュラーな技、国際審判員の、しかも世界大会で審判するような人が知らないわけないじゃん、馬鹿じゃないの」という人がほとんどだと思うが、私がそう思った理由をこれから、長くなるが書いていきたい。
 あの篠原×ドゥイエ戦の誤審も「内また透かし」には、どんな種類があり、それぞれの形では、決まると、どんな形で「技をかけた方」と「かけられた方」が転がるか、についての知識が、あの主審になかったために起きたのだと思う。今回も、「よくある普通の大内刈り」ではなく、「めったにないすごい大内刈り」が決まると、かけた人、かけられた人が、どこにどんな状態で倒れるか、について、残念なが、この審判は、見たこともないし、判定したこともなかったのだと思う。
 かなり脱線したところから話を始めたい。柔道は、技術が高度化複雑化しているのに、技の名称は、初めに加納治五郎が分類整理したときから、あまり増えていない。つまり、現在、かなり違う原理で、かなり違う決まり方をするいくつかの「まったく別の種類の技」を、便宜上、ひとつの技の名称でくくっている。有名なところでは、俗称「韓国背負い」は、背負い投げとは全く別の動作と原理で投げる技だが、決まり技分類上は、「背負い投げ」である。
 また、柔道の技には、「似た形の技」があって、似ているけれど、有名な名前と、なじみの薄い名前がある。そして、本当はマイナーな方の投げ方で投げていても、メジャーな名前で分類されているうちに、メジャーな名前の技の中身の幅が広がってしまう、という現象も起きている。
 具体例でいうと、朝比奈沙羅は一昨日、ほとんど全部の試合を「支えつり込み足」で勝った。相手の足首付近に自分の同側の足裏を当てて、そこを軸に手前に引っ張り出して相手を回転させ倒す技だが、この足を当てる位置が膝になると、本来、名称は「膝車」になる。膝まで足をあげるため、やや攻撃側のカラダ位置が遠くなり、脚が伸びた状態になる。
 一昨日の決勝戦、朝比奈の足裏は、相手の膝にはいっている。膝車である。ただしカラダの位置がさほど遠くなっていないので、技のシルエット全体としては支え釣り込み足的に見える。そこまで、放送も、決まり技を発表してきた審判団も「支えつり込み足」と朝比奈の技を呼び続けてきたので、「膝車かも」というような議論は特に起きない。
 66キロ級で圧勝した阿部一二三。圧倒的に強い天才であることに異論はないが、彼の技を「背負い投げ」というのには、私は抵抗がある。阿部一二三の「背負い投げ」と呼ばれている技のほとんどが、「釣り込み腰」である。今、ふつう、「釣り込み腰」というと、みな、袖をもっての逆回転技「袖釣り込み腰」しか思い浮かべないが、背負いと同じ方向に回って投げる「釣り込み腰」という技が存在する。背負い投げとの相違点は、前から見た時に「くの字」に腰を曲げて、お尻を相手の体の向こう側まで突き出し、自分の体側に巻き付けるように相手を前に投げる点である。袖釣り込み腰の多くがそういう決まり方をすることを思い浮かべれ、それを背負い投げの襟と袖の持ち方でする、と理解すればわかりやすい。
 今回の阿部一二三の決勝戦、直前に妹が金メダルを取ったので、気負いに気負って無理やり投げようと技をかけまくると、技のクセが非常によくわかる。カラダが「くの字」に曲がって、腰を相手の向こう側まで押し入れようとする動作がはっきりとわかる。しかし、袖をつらないただの「釣り込み腰」という技は、なじみのない、マイナーな技であるために、阿部一二三のあの技は、一般には「背負い投げ」として知られるようになっている。
 私がなぜこのような細かい名称について、くだくだと文章を書いているかというと、阿部一二三のあれが背負い投げだ、となってしまうと、柔道をする子供たちが、あの形のマネをするようになる。あの形でうまく投げられれば良いが、普通、あの形で背負い投げを練習すると、肘を故障しやすい。古賀稔彦選手も背負いの名手と言われ、阿部選手の背負いの形は古賀選手に似ている、と言われるが、まさに、古賀選手は、あの「腰を入れる」形で両手の背負いを練習したために肘を壊し、あの形で無理のかからない一本背負いの名手になったのである。
 背負い投げを肘を壊さずに習得するなら、野村忠弘氏と、そのおじさん豊和氏(オリンピックの金メダリストである。)、歴代柔道家最強説もある、藤井省太先生など、天理大学で継承研究され続けてきた背負い投げか、秋本、粟野ら、桐蔭学園→筑波大系の背負い投げを教科書にするのがよい。これらの背負いと阿部一二三の背負いを比べれば、形がはっきり違うことがわかると思う。
 背負い投げと並んで、今、もっともよくみられる内股についても、本当に内股本来の形(跳ね上げつつも横に回す)で内股を使ったのは、故・斎藤仁さん、吉田秀彦さん、近くは上川選手などごく少数で、現在、主流の内股は「跳ね腰」という別の原理の技、動作をしながら、脚のかかる位置が股の内側にあるという一点で「内股」と分類されている。これは「跳ね腰内股」という別の技術であって、そちらの方がかける機会が多く決まりやすいために試合では多数見られ、そういう内股しか見たことがない審判というのが海外などでは存在するはずである。井上康生監督、羽賀龍之介ら、東海大学系統の「豪快跳ね腰内股」が正統な内股だと思っている柔道関係者は多いと思う。違う。上川の形がいちばん美しく、かつての斎藤仁選手世界選手権での内股が、最も美しい。

 さて、大きく遠回りをして、立川の大内刈りの話に戻る。大内刈りというのは、「相手の足を、内側から同側の足で刈って、後ろに倒す」技として一般に理解されている。後ろに倒すので「押し倒す」技と思われている。だから「下がる相手にかける技」と思われている。本当は、全部違う。しかし、現在みられる大内刈りの99%は、こういう「違う原理」でかけられる。足を引っかけて、ケンケンしながら押し込んでいって、後ろに押し倒す。そうやって勢いをつけて豪快に倒れた時だけ一本になるが、そうでないときは「勢いが足りない」として技ありどまりになる。
 審判の技理解が間違っているから、本当の、今やめったに見ることのない本当の大内刈りが出た時に、何が起きたのかわからず、「捨て身技で自分から倒れたの?ならポイントなし」みたいな判断になってしまうのだ。
 今、ありがちな大内刈りは(逆組手の試合で多発されるが)足を刈ったら、もう一本の、着地している足の方に、相手をどんどん押していく、ケンケンしながらどんどん押していくと、相手は、どちらかというと、内股をかけられたような形で横倒しに回転しながら倒れる。順組手でも同様で、脚をかけて、ただ真後ろに押していく。
 本来の大内刈りは、脚をかけて、脚を横手前に引き出しながら、脚の着地していない方に重心をかけていく。自分の右足で相手の左足を刈ったならば、二人の足が宙に浮いて支えを失っているところに二人の重心を合わせて持っていくように動作する。と、真下に、垂直落下するように、相手が倒れる。大内刈りは、遠い後ろに相手を倒す技ではなく、真下に相手を叩き落すように倒す技なのだ。
 このような大内刈りを使える選手は、非常に少なく、女子ではかつて阿武教子選手などがいたが、最近はほとんど見ることがない。
 そんな中、立川選手は、(もちろん現代的な大内刈りも使うが)、古典的な、絶滅危惧種的に美しい大内刈りが使えるのである。ゴールデンスコア1分23秒の大内刈りは、まさにそのような決まり方をしているのだが、残念ながら、審判には、何が起きたのか、全く理解できなかったようである。

 さて、私がなぜ、大内刈りにここまでのこだわるのか。それは、長男の大内刈りが、本当に美しかったから。
 
 私の長男、この古典的な大内刈りの名手であった。大内刈りだけでなく、背負い投げ、内股、袖釣り込み腰、一本背負いという大技から、谷落とし、(今や足取り禁止で使われることのなくなった)踵返しなどの小技まで、それぞれの古典的本来的美しさと切れ味で、使うことができた。以前書いたような勉強との両立や桐蔭学園―桐蔭中等学校の分裂騒動の事情で高1はじめに柔道をやめてしまったが、中学3年までの段階での技術的完成度でいうと、かなりのものだった。(強さでも、神奈川県で準優勝、全国強化選手の英剛太郎選手と横浜市大会でも神奈川県大会でも、団体でも個人でも常に決勝を戦っていたので、弱くはなかったが)、技の理合いに則った美しい技を、「形の試合」ではなく、純粋に勝ち負けを競う勝負の中で出せる、という意味で、見ていて楽しい選手だった。
 もし、柔道の試合が、体操競技のように、技ごとに難易度点と実施完成度点が評価されていたら。もし、制限時間内に、何点取れるか、というような、サーフィン競技のような「採点得点競技」で行われていたなら、長男はオリンピックに行けたんじゃないかなあ。
そんな長男の大内刈りも、小中学校の試合では、大外刈や内股というわかりやすく「決まればたいてい一本」とは違って、ものすごくきれいに決まっても、たいてい有効か技ありどまりだったなあ。審判の判断基準が、大内刈りには厳しいんだよなあ。試合のたびに、息子の技の見事さと、審判の大内刈り評価の低さにいつもいつも腹を立てていた。そんな記憶を、昨日の立川新の試合が思い出させたのでした。

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大坂優勝と、セレナのコーチング違反について。錦織ジョコビッチについても・ [スポーツ理論・スポーツ批評]

女子では四大大会以外では、コーチングが認められている試合もあるが、四大大会では男子も女子もコーチングはルール上は認められていない。とはいえ、ジョコビッチなんかは、うまくいかないと、コーチ・陣営のいる方に向かって大声で何かを言ったり不満の身振り手振りをよくする。一昨日の錦織戦でも、そんなシーンは何度も見られた。過去にも、ジョコビッチはコーチングを受けている疑惑を何度も指摘されている。(あのとき、コーチ陣は、反則を取られないように下を向いたり、指示と受け取られそうな身振り手振りは絶対しないようにしているのだろうか。)そんな、コーチング禁止ルールがあいまいな運用をされることが常態化している中で、今回の試合の審判が、いきなり厳密にそこをとったので、こんなことになったのだ。それはなぜか。理由があると思う。それを書いてみたい。
 ジョコビッチもセレナ・ウィリアムスも、感情を爆発させること、フラストレーションを爆発させることで、ゲームの流れを自分に引き寄せるという、日本人にはあまり理解できないタイプのメンタルコントロールをする選手だ。日本人にとっては、今回の大坂のように、どんなときにも冷静に、じっと耐え続けることがメンタルコントロールだという理解が一般的だ。しかし、ジョコビッチやセレナは、うまくいかない時は、不満をあらわにする。感情を爆発させる。ジョコビッチは審判に対してというのは少なくて、自分に対して、そして、コーチ陣陣営に対して、大きな声で不満を爆発させる。セレナは、審判にも平気で不満をぶつける。絶対的王者が、感情をむき出しにすることで、実は、対戦相手を威嚇威圧する効果もあるのではないかと思う。二人とも、感情を爆発させたことをきっかけに、試合の流れを自分に引き寄せることが、結構ある。
 今回のセレナは、第一セットから、明らかに劣勢だった。テニスの実力として、大阪が上回っていた。これは、セレナの予想外、想定外の事態だったと思う。今大会の大坂をずっと見てきたが、準決勝の、ブレークポイントを6回はねかえした第二セット第二ゲームが象徴するように、一戦ごとにプレーもメンタルも驚くほど成長し、決勝コートに上がった時には、セレナを圧倒する実力者になっていたのだ。
 その、想定外の、実力的に圧倒されている状態を跳ね返すには、セレナにはもう怒りを前面に出して周囲を威嚇することで、大阪を委縮させる、それしか、挽回する手が無かったのだと思う。主審は、その意図を見透かし、そのような卑怯な威嚇行為で劣勢を挽回しようとするセレナの行為に対して、ペナルティーで1ゲームを大坂に与える、という、異例に厳しい処置をとったのだと思う。
 表彰式でのセレナの「ブーイングはやめて」のスピーチで、セレナへの好意的評価をする意見が多く語られているが、「コーチングへの1ポイントペナルティ」をきっかけとして、怒りと威圧で試合の流れを引き寄せようとしたセレナの戦術は、褒められたものではないと思う。それに全く動じなかった大坂は本当に立派だった。
 錦織は、ジョコビッチを大の苦手とし、今回も、準決勝で完敗を喫した。今大会、錦織のプレー内容は、準々決勝まで、錦織史上最高といっていい充実した内容だったと思う。ジョコビッチ戦も、ひとつひとつのプレーの質では、ジョコビッチと互角に見えた。しかし、一試合トータルで見ると、勝負所での一ポイント、というところで、ジョコビッチのメンタル、集中の強さに、必ず負けてしまうのだ。錦織がジョコビッチの壁を超えるには。錦織がこの大坂ーセレナ戦をどんなふうに見て、何を考えるのか、とても興味がある。若い大坂と比して、28才の錦織が本当のトップにいられる年数はもう限られていると思うが、31才のジョコビッチもそれは同じ。二人がトップレベルでいるここ数年のうちに、再びグランドスラム決勝で対戦し、錦織の勝つところ、優勝するところが見たいなあ。そんなことを考えた、全米オープンでした。
関連ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20180909-00096245/




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CCSの圧入地点深度は3000m、地震の震源は37キロ、水平距離的にも20キロくらい離れている、だからデマなのか。 [文学中年的、考えすぎ的、]

CCSと苫小牧地震の関連について、真面目な人たちが
「胆振東部地震北海道大地震を人為だと言っているモノへ
CCSは地下3000mで行うものです。
地下3000mには泥の層が有るのみで、断層はありません。
都市伝説を信じるのはやめましょう。
今回の地震は地下30kmが震源と発表されたのを思い出しましょう。」
「2〜3kmと37kmじゃ全然違うし、その間に泥岩の遮蔽層まであるのに、どうやってCO2が浸透すんねん!しかも気体が液体と混合したからってすぐさま地下に向かうんか!地球物理学なめんなよ!!アホ抜かしやがって!!」
とツイートして、デマ、都市伝説だ、と警告するツイートをしていますが、
さらに真面目な私は、五年前に警告していた石井昭氏の著書
『「地震学」と「火山学」―ここが間違っている 「地震」も「火山」も「マグマ」が引き起こす爆発だ! 』単行本 – 2014/12/17石田 昭 (著)をAmazonでポチって、すでに読んでみたのである。(もう何冊か注文したが、まだ来ていない。)
 地下で圧がかかった地下水は、上から押されるとトコロテン式に移動するので、注入する地点そのものが震源になるわけではない。というのが著者の理論。長岡市のCCSは1100m、わずか1キロのところに注入して、震源の深さは、中越地震が深さ13キロ、中越沖地震が深さ17キロ、水平距離でも20キロ離れた地点で地震が起きています。
 秋田雄勝の実験場と、宮城岩手内陸地震の震源の距離も27キロ離れています。
CCSを進めている「RITE(地球環境産業技術研究機構)」の責任者と著者は直接議論していますが、担当者は、圧入している層は不透過層(気体も液体も通さない)に上下を挟まれているので、地下水をトコロテン式に押ない、という立場をとっており、だから安全という主張ですが、筆者は、注入したCO2に対して、回収率される地下水の量が少ない=回収率が低いことから、どこかにトコロテン式に深部まで圧がかかって地下水が移動していく、と考えています。
 そして、「海外ではCCSは安全」というのは、火山国でないところでは、地下マグマの深度が十分深いので、地下に圧がかかって移動した水が、解離(水素・酸素に分離イオン化)するリスクが低いが、日本のような火山国では、たいてい活火山がすぐ近くにあり(苫小牧ではすぐ近くに樽前山がある。)解離水爆発が生じやすい、ということです。

 著者はまた、「断層に水がしみ込むから地震が起きる」などと主張しているのではなく、これは因果関係が逆だと主張しています。解離ガス爆発で地震が起きた結果として断層が生じる、という主張です。(爆発の方向により、断層の種類が変わる)。よって「地下3000mに断層なんて無いから、デマ」という反論は、まるでピント外れ、ということになります。

 くりかえしになりますが、科学的正しさについては、私には分からないです。が、状況証拠的に、CCS実験をした付近で、実験開始から1~4年程度の間に、加速度が非常に大きい地震がもれなく生じている。 (岩手宮城内陸地震は4022ガルでギネス記録に認定されたそうです。中越も中越沖も、苫小牧の地震も、1500ガル前後という加速度。ちなみに阪神淡路大地震が800ガル程度。) ということを考えると、メカニズムがすべてこの著者の言う通りかどうかはわからないが、なんらかの因果関係を疑って、CSS事業は一度見直す、いったん停止するのが良いというのが、私の意見です。
実験地点と震源地の距離や深さ関係も、深さ、水平距離とも20~30キロ程度離れているパターンのようなので、これは、地下水の解離は、注入地点から、その程度の距離までトコロテン式におされたところで起きる、ということのようです。
 むきになって否定する人は、「メカニズム、因果関係が解明されていない」ことと、「因果関係が無いこと」の区別がついていないようで、その方が非科学的態度です。相手の主張や、共通の現象を調べもしらないで、自分の狭い知識や先入観で、「都市伝説」「デマ」と決めつける態度、原発推進派の、原発事故直後の「ストロンチウムやプルトニウムは重たいから飛ばない」を思い出させますね。(後に横浜の中学校屋上で福島由来のストロンチウムが高濃度で発見されている。)
 セシウムボールと原発事故直後の鼻血、内部被ばくの関係も、事故後何年もたってからわかってきたことで、当時は薄らバカな放射線専門家や医師たちが、「福島事故程度の放射性物質の拡散と線量で鼻血なんか出るわけがない(骨髄造血作用被爆影響からの鼻血しか連想できなかった)と」と、鼻血が出たことを不安視した人たちの声をデマ扱いしたことを思い出させます。
 追記
直接利害関係ないのに、いきなり信じる人も、いきなりデマだと決めつける人も、おんなじくらいおバカだと思う。調べる学習する、科学的議論だけでなく、賛成反対の人の、政治的経済的利害関係を読む。それから、学会の主導権争い、権威主義というようなことも、考慮に入れた方が良い。学会傍流であるがゆえに、一部真実を含んでいるのに弾圧されて、社会にとっては不利益になること、がよく起きる。(医学の世界での丸山ワクチンとか)、 そうした検討の後に、態度を決めた方が良い。経験的に「視野の狭い理系専門家」は、たいていいきなりデマだと否定する。それから、現政権や経済界と利益を共通にする人も、「デマ」と否定する。反政権的傾向を持つ人は、割と信じやすい。しかし、結局、こういうことは「科学的真実は、当分はわからない」。その議論をしている間も。事態は進む。やるべきことは「態度を決める」こと。科学的真実はわからないけれど、「やめた方がいいんじゃないか」というのが僕の今のところの判断かな。もう少し考える。

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苫小牧での地震。都市伝説?陰謀論?主張している人は怪しいが、事実はどうなんだろう。 [閲読注意]

苫小牧での大地震を、原因根拠を挙げて予想、警告していた人がいます。
 その人物(石田昭氏)が、専門の地震についての研究以外では、トンデモ科学と陰謀論まみれの、非常に怪しい人物であり(幸福の科学の幸福実現党から選挙に出たりもしています。)、地震関連でも学会主流派にからはトンデモ学説として相手にされていません。よって、マスメディアで取り上げられたことはほとんどありません。

 紹介するブログは、そうした事情はひとまず横におき、地震発生メカニズムについての理論と、具体的第三者的に確認できる事実のみから、この予想的中と、その根拠となっている事象について、注目に値するのでは、として取り上げているようです。

①アメリカでいくつも研究、論文が発表されている通り、石油や天然ガス採掘、工業廃水処理のために、地下に不用意に高い圧力を掛けて、液体その他を圧入することが、人工的に地震を引き起こす元になることは科学的事実として認知されている。アメリカで過去ほとんが起きていない地域で、このような工事が行われた直後に地震が頻発し、工事を中止すると地震が止まることが確認されている。

②日本においては、20年ほど前から、温暖化対策のための、CCSという技術の開発、実証実験が行われている。CCSとはCarbon dioxide Capture and Storageの略であり、火力発電所や製油所、製鉄所など大規模工場から排出されるCO2(Carbon dioxide)を大気中に放出する前に捉えて(Capture)、地中に貯留する(Storage)技術のことだ。確かに、化石燃料を燃やすことで発生するCO2を地下に埋めてしまうことができれば、エネルギーの利用と温暖化対策の両立が可能になる。

③CCSを進めている日本CCS株式会社は、主に電力会社と日本を代表する大企業出資して作られた企業。政府からも大規模な資金援助がされている。株主一覧を貼っておく。つまり、国家的大プロジェクトである。
 株主一覧
北海道電力株式会社 東北電力株式会社 東京電力ホールディングス株式会社 中部電力株式会社 北陸電力株式会社 関西電力株式会社 中国電力株式会社 四国電力株式会社 九州電力株式会社 沖縄電力株式会社 電源開発株式会社 JFEエンジニアリング株式会社
新日鉄住金エンジニアリング株式会社 千代田化工建設株式会社
東洋エンジニアリング株式会社 日揮株式会社 国際石油開発帝石株式会社
石油資源開発株式会社 三井石油開発株式会社 出光興産株式会社
コスモ石油株式会社 JXTGエネルギー株式会社 昭和シェル石油株式会社
伊藤忠商事株式会社 住友商事株式会社 丸紅株式会社 三菱商事株式会社
JFEスチール株式会社 新日鐵住金株式会社 大阪ガス株式会社 東京ガス株式会
三菱ガス化学株式会社 三菱マテリアル株式会社 伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社
エヌケーケーシームレス鋼管株式会社

④ここからが問題なのだが、CCSの実証実験が、今行われているのは、苫小牧、北九州であり、東日本大震災で中止されたが福島いわき沖でも実証実験は行われていた。それに先立つ先行実験が新潟の長岡と、秋田県雄勝でデータ収集のためのより小規模な実験が行われていた。

⑤実験が行われた近辺で、実験から1年~数年内に、大地震が(北九州以外)もれなく起きている。
ブログ記事から引用すると
「中越地震、中越沖地震と云う二つの地震を起こした疑念のある新潟県長岡市でのCCS、岩手・宮城内陸地震を起こした疑念のある秋田県雄勝実験場でのCCS、そして東北大震災の津波災害を引き起こした可能性のある福島県いわき市沖でのCCS」
さらに引用すると
「中越地震(2004.10.23)は、圧入から(2003.7.7)1年3ヶ月後に発生し、中越沖地震(2007.7.16)は、圧入から4年後に発生しています。
トータル10,405トンを圧入して、中越地震後の2005年1月11日12時に完了となっています。
(因みに、長岡の実証試験はデータの収集が目的であり、勿来沖、苫小牧沖、などは本格事業です。勿来沖での圧入事業も、東北大震災のあと、中止され、苫小牧沖に移っています。北九州でも本格事業が進行中です。)」

⑥上記の地震に共通する特徴は、地震の揺れの加速度が非常に大きいことで、通常のプレート破壊型の地震の数倍の加速度が観測されている。(地震の波形が、地下核実験をしたときの人工地震に近いことから、陰謀論大好きな人たちの間で人工地震説が取りざたされることが多い。しかし、石田氏は、地下に水を封入した結果起きる解離水爆発による地震はこのような強い加速度の揺れが生じると主張している。)

⑦こうしたことから、石田氏は、大規模な実証実験が苫小牧で始まり、地下へのCO2封入が本格的に始まる2016年以降に大地震のリスクが高まることを、五年前に警告している。(YouTube動画あり。ただし、いろいろな陰謀論がどんどん出てくるので、見ていると信ぴょう性がどんどん落ちる、というトンデモ動画ではある。)

さて、ここから、私の感想なんですが、

 CCSの進行主体は、実に原発推進主体とほぼまるかぶりで、原発推進主犯の東電元会長勝俣氏が推進者の名前の筆頭に上がり、原発擁護論客として、NHKあさいちでイノッチにこてんぱんにされた東電出身の「竹内純子氏」(国際環境経済研究所主席研究員)が推進の旗振り役になっているあたり、なかなかいろいろありそうですが。 

 善意で解釈するならば、火力発電でCO2を大量排出する電力会社が、その社会的責任から、C02を地中処理する方法を一生懸命研究開発しているのだ、ということなのだと思うわけですが。

 しかしどうも、結果として、実証実験するたびに大地震を引き起こしている可能性が、どんどん高まっているので、これは、いったん立ち止まって、もしかしたら、善意からはじめたことだけれど、間違っていたのかも、と見直す必要がありそうだと思うのですが。

 しかし、原発推進メンバーの特徴は「自分たちは世界でいちばん頭のいいエリート集団なので、ぜったいに間違いはおかさない」「まずいことは金と権力の力で隠蔽する」「間違いは絶対に認めないし、責任も絶対認めない」という人たちですよね。
 たしかにこれだけたくんさんの死者を出した複数の大地震が、CCSの結果起きていた、なんてことになったら、だれも責任とりようがない大事件ですよね。リスクが指摘されていたのに、実験を続けたのだとしたら、責任者全員死刑かも。
(実は、国会で一度だけ、CCS実験と中越地震の関連について質問がされたようです。)

 善意からの事業、実験だとしても、ふつう地震がおきにくい場所で、大規模な地震を引き起こすリスクがCCS事業にはありそうなので、ここはメディアがきちんと取り上げて、いったん、ストップをかけた方がよさそうだと思いませんか。
(これは、私のブログを書き始めた、原発推進自体が当初は善意だったとしても、間違ったと思ったらやめた方が良い。間違えた人は責任を取るべき論と同じ立場です。)

CCSを進めている人たち、というのが確実にいて、「あっちゃー、苫小牧でも地震起こしちゃったよー」なんて思いながらも、「でもこの件は絶対に表沙汰にしてはならないし、ならないように偉い人たちが手を回すから大丈夫」なんて言いつつ、北九州のプロジェクトも止めずに進めるつもりなのでしょうか。

 次は北九州かもしれないですし、もっと怖いことには。ブログから。
「一番恐ろしいのは、千葉県の東京湾岸でもCCSが計画されていることだ。これがそのまま進行すれば、必ず東京都に大地震が発生する。」

信じる、信じないはあなた次第の都市伝説、ならいいのですが、なんか、本当にまずい感じがするので、とりあえず、紹介しておきます。

追記。今回の地震被害が、北海道の電力網を直撃、北海道最大の苫小牧の火力発電所を直撃したのが、ただの偶然ではなく、まさにそこから排出されるCO2を、地中に封入する実証実験が引き金になっていたからだ。大地震が過去に起きたことがない苫小牧で大地震が起きたのは、電力会社の実験プロジェクトのせいだから、というのは、なるほどなあ、と思ったわけです。私は純・文系の人間ですから、科学的正しさについてはわかりませんが、こういう意見と、過去の経緯(長岡実験と中越地震、福島沖の実験)があるのにメディアが完全に黙殺しているのは、何かいろいろ考えざるを得ないと思います。

AMEBLO.JP
https://ameblo.jp/docomo1923/entry-12403130850.html
『北海道大地震は5年前から警告されていた!地震原因は活断層ではなく苫小牧CCSによる誘発地震だ!』
震度7の北海道大地震の原因は、活断層が動いたからではない。原因は人為的なものだ。いわば人災ともいえる。…

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