共謀罪が衆院を通過してしまう日に思うことあれこれ。 [文学中年的、考えすぎ的、]

 今日は共謀罪が衆議院を通過しそうで、今、国会中継をネットで観ながらこれを書いています。ひとつのまとまった意見は、ありません。思うことを、バラバラと書いておきます。今日の日の記録として。
 海外のニュースでは、マンチェスターで人気歌手アリアナ・グランデのコンサートで終了直後に自爆テロ?らしき爆発があり、今現在の情報では22人が死亡、負傷者が多数出ています。BBCとCNNを交互にチャンネルを変えながら見ています。
 国会での与党側の意見では、もれなくこのマンチェスターテロへの言及があり、法案正当化にたまたま起きた外国の不幸はすかさず利用されるわけです。

 共謀罪は、まったくテロ防止のためではない、テロ防止ではなく、警察の恣意的取締りを行い検挙実績を上げるためではないか。政権が反政府活動を抑圧するためという目的もあるが、それ以上に大きな隠された目的、弊害は、警察組織が恣意的に人権抑圧を行う可能性が高い。そのことが内心の自由、表現の自由の抑圧につながる可能性が高い。という問題点があるわけです。この立場からの意見分析は、京都大学大学院の高山教授のコラムに詳しいので見てください。リンクは以下
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51376

 とはいえ、「国民の監視によるテロの防止」ということを大真面目に考えている人もいるではないかなあ、ということも、私は思うのです。アメリカが911テロの後にNSAを使って、国民監視を驚くべき規模で行うようになったこと(prism計画)がスノーデンの告発で明らかになっています。(大手ウェブサービス9社Google、Yahoo!、Facebook、Apple、AOL、Skype、YouTube、PalTalkが協力させられて、メールの内容がチェックできる体制にしてしまいました。その網羅的規模は、ちょっと想像を絶するものだったわけです。)

 この件に関連して、以前にブログでスピルバーグの「マイノリティ・リポート」に触れたことがあります。殺人のような重大事件を、発生の前に阻止できないか、というのは、これは普通の感覚の人にとっては「まあ、そうなったらいいよなあ」と思うわけです。あの映画では、「プリコグ」という未来予知超能力者三人が犯罪を予知し、発生前に犯人を逮捕する、という未来社会になっているわけでず。
現実社会において、超能力者はいないので、様々な手法による国民生活全体の徹底的監視によって、予防したい、という考え方は、警察および、権力側にはたしかにあると思います。犯罪抑止にビッグデータ分析が活用されるようになっており、その方向にアメリカは進んでいるのです。さらに極端にこの方向に進んでいるのがシンガポールです。
 安倍政権が理想とするのは、この件に限らず、シンガポールの故リー・クアンユー(今の首相の父親)の作った国家像ではないかと思います。形だけは民主制だが、実態は独裁政治。一党独裁の長期安定政権。徹底した監視社会(いたるところ監視カメラだらけ)実現による犯罪の抑圧防止。
一方で大企業・グローバル企業と、それを支える富裕層・エリート階層の優遇。実学系理系学問の優遇による産学協同体制の推進。国民所得はアジアでトップ、大学の世界ランクも常に世界でも上位、アジアトップ。グローバル企業と利害が一致する人にとっては天国のような国。一方で権力側、経済エリートらなりそこねた人にとっては、シンガポールはとても息苦しい国であるのです。経済指標ではアジアトップのシンガポールですが、「報道の自由度ランキング」では180か国中153位、米調査会社ギャラップが12年に発表した日常生活の「幸福度」調査では、シンガポールは148カ国中最下位。

 警察が「本当にテロを予防したくて」真面目に、なのか、「検挙件数実績を上げたくて」なのか、「政権の手先となり反政府活動を抑圧するため」なのかはわかりませんが、今回の法案を恣意的に拡大解釈運用していく恐怖、というのは残念ながらスタートしてしまいました。
 私はときどき国会前のデモをしているところに出かけるのですが、(デモに参加する、というよりも、やっているあたりをウロウロ歩き回って帰ってくる、という意味不明な動きをするのですが。)、こういうことにも、共謀罪が成立すると、「こんなところをウロウロするだけで、一般市民ではない、テロを企てている組織の一員として警察のデータベースに登録されてしまうのではないか」という恐怖が生じます。内心の自由への侵害と言うのが、確かに起きるのです。

 このことに関連して、さらに話はとびますが、思い出すこと。ものすごく昔のことで1995年の春先。1月に阪神大震災が起きて、3月に地下鉄サリン事件が起きた、そのあとのこと。
とても心配性な私は、もし都内にいるときに大地震が起きたら、どうやって相模原まで帰ったらいいのかなあ。ということがとても不安になって、当時、電通は聖路加タワーにあったので、その近くの駐輪場を借りて自転車を置くようにした。その上で、携帯用防災グッズ
マニアになってしまい、アラミド線維軍手とか、防塵防炎マスクとか、スイスアーミー、いろいろついているナイフとか、そういうものをリュックにいれて持ち歩くようになっていた。そして自転車で都内仕事場を走り回るようになっていた。そんなある日、赤坂見附交番の前で、おまわりさんに停められて職務質問されたんだよね。
 私は世代的にオウムの幹部連と同年代。(上祐と、僕の中学同級生の上田君は、早稲田高等学院から早稲田のESSまで大親友だった。もちろん、僕自身は上祐とは何のつながりもない。)あきらかにオウム年齢の、あやしげインテリぽい、しかも坊主頭の、自転車でリュックに防毒マスクを入れたやつを職務質問!!。はじめはにこやかに話しかけてきていたのですが、リュックの中身を見て、おまわりさんの目つきが変わった。「こいつ、あやしい、あやしすぎる」。しばらくいろいろ聞かれたのだけど、「地震が怖いので防災グッズを持ち歩くようになっているだけです。広告屋です」と必死に弁解して、放免してもらったのだが、すごく動揺した。
 もし、今、ああいう事態になったら、SNNで「こいつは上祐の友達の友達である」ことがすぐ調べられてしまい、その上、フェイスブックでもブログでも、いつも政権に批判的なことを書いているなあ、ということもすぐわかってしまう。無事ではすまないのじゃないか。そんなことを考えると、本当に怖いなあ。とはいえ、書くのはやめないけどね。

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