南ア×ウェールズ 感想 5本勝負 [スポーツ理論・スポーツ批評]

一本目 前々日。(イングランドNZ戦前夜。)

明日のイングランド×ニュージーランド、あまりに楽しみ過ぎて、頭変になりそうなのだが。特に、エディさんがどんな秘策を繰り出してNZに立ち向かうか、そんなもの跳ね返して、やっぱりNZは強いのか。いやいや意外に、秘策ではなく、真っ向勝負でもイングランドがNZを上回るのか。あーー、もう大変。

といって、この試合を(このJスポーツの記事みたいに)「事実上の決勝戦」というのは、ウェールズと南アフリカに失礼だぞ。ということを説明していきます。

今年のウェールズ×イングランド。
8/17、ウェールズホームのカーディフで、とはいえ
◯ウェールズ 13-6 イングランド
2月のシックスネーションズでも
◯ウェールズ 21-13 イングランド
なのだ。

今大会も、ウェールズはここまで、オーストラリアにもフランスにも(接戦だったけれど)勝っている。この接戦というのがウェールズらしくて、大勝するより、むしろ調子がいい証拠だと思う。
シックスネーションズでの、イングランド戦だけじゃく、最強説高かったアイルランド戦でも、謎の根性と集中力を出して勝った。今年のシックスネーションズ(北半球最強決定対抗戦)、全勝優勝しているんだから。

南アだって、今大会の初戦のニュージーランド戦、負けたとはいえ(南ア13-23 NZ)、力負けというよりは、集中力の差、という負け方だった。
今年のラグビーチャンピォンシップ(南半球最強決定四か国対抗戦)は引き分け
南ア16-16 NZ
チャンピォンシップ、南アはオーストラリアにもアルゼンチンにも大差で勝って優勝している。
(ニュージーランドはオーストラリアにも負けて三位だったの。)

つまり、ウェールズ×南アは、今年の「北半球最強決定戦優勝」VS「南半球最強決定戦優勝」の対決なのよ。
一方のNZ×イングランドは、今、現在の世界ランク1位と2位の対決。

もう本当に夢のような二試合になったわけ。

オールブラックスだって、決勝戦は緊張するから、2011年大会の対フランス、決勝戦なんかは、どっちに転んでもおかしくない試合になったし。一大会に一試合くらい、NZ、オールブラックスといえども、調子狂うことがあるのです。

だから、確かに明日のイングランド×ニュージーランドは、もう明らかに今、望みうる最高の対決なんだけれど、「事実上の決勝戦」というのは、違うぞー、ウェールズと南アに失礼だぞー。と思う。あーー楽しみ。

二本目 スタジアム観戦後、帰りの電車の中で。

電車に乗っての生観戦後感想。南ア×ウェールズ。
両チームとも注文通りの展開。キックを多用し、相手に球を持たせたところに激しくプレッシャーをかけて、反則を誘いPGを重ねての低スコアの戦い。相手にダメージを与える消耗戦。ウェールズはこのまま僅差で行きたい。南アは、相手が疲れた後半に一気に攻撃のテンポを上げて大差をつけたい。

疲労からか、ウェールズ前半最後にジョージノースがハムストリングをやっちゃって交代。南アの注文通り。

後半、南アが試合初のトライで突き放すかと思うが、ウェールズも食い下がり、後半ラスト10分まで勝負の行方はわからない。
ここまで粘ったウェールズに勝たせてあげたい気持ちマックスになったのだが、、、、、。
 最後の仕上げに南アが大量選手交代したところで、ウェールズ、力尽きる。南アのゴール前に迫ったところでトライが取りきれない。自陣前まで攻められると、ペナルティ無しでは止められない。わずか3点差PG一本ですが、見ていた感じ、どうしても追いつけない展開で、終了。

ハーフペニーは試合勘がやはり戻っていないのか、好プレーもあったが、ハイボールキャッチでミスが目立った。でも、最後の難しい角度のコンバージョンを決めたところ、思わず僕は立ちあがってガッツポーズしてしまいました。

 ウェールズの素晴らしさ、タックル、見事なラインアウト。スクラムは時に粉砕されても、また次は立て直して戦う。ラグビーの国としてのプライドを示した、見事な戦いでした。電車着いたのでおしまい

追記、修正。(本文でも修正しちゃってあります。)

家に帰ってきて、いろいろ間違い修正しました。

⑴最後の10分でどんどん点差が開いた、と書いたけれど、本当は3点、PG一本差だった。
最後の10分、ゴール前でウェールズはペナルティを繰り返したので、もっと点差が離れた感覚で「負けたー」と思ったのだが、南アが最後PG蹴らずに外に蹴りだして終わったから、三点差で終了だったんだ。点差は三点だけれど、絶望的に届かない三点でした。
②はハーフペニーが決めたのはPGと書いちゃったけれど、
ハーフペニーが決めたのは、PGではなく、同点となるトライ後の、難しい角度のコンバージョンだった。


三本目 試合会場の雰囲気

試合場の雰囲気レポート。

昨日の「イングランド×ニュージーランドが事実上の決勝戦」ということに関して、観客席の雰囲気でいうと、それは本当だった。昨日と今日は、ずいぶん雰囲気が違いました。

昨日のNZ×イングランド戦の雰囲気。
ニュージーランド人とイングランド人は、決勝まで当然、行くつもりで、おそらく「決勝トーナメントだけ、決勝まで」観戦ツアーとかセットチケットとか、そういうので大挙して来日しているのだと思う。両国の人が、ものすごい人数来ていた。

つまり、試合当事国の人が、大量に押しかけてきていて、観客席もそういう緊張感、高揚感が充満していた。

日本人:NZ人:イングランド:その他外国人(あくまで着用ジャージ・外見判断)の比率が 客席を見た感じでも
5:2:2:1くらいで、客席の4割は当事国の人、という雰囲気だった。(実数ではきっともっと日本人が多いのだろうけれど、雰囲気でいうと、そんな感じだった。)

ラグビー強国の外国の人は、一般人でも体がものすごくでかいので、通路を歩いての体感で言うと、体積比では、2:4:4:2くらいの感じ。でっかいイングランド人とNZ人とその他アイルランドやオーストラリアや南アやスコットランドや、という人たちがわっさわっさとビールを手に歩き回っている、あるいは通路に立ちふさがって話をしている、その間を小さい日本人がうろうろ歩き回っている。というのが、昨日の感じ。

日本人で、準決勝のチケットを買っているのは、プール戦、日本戦と比較すると、年配の昔からのラグビーファンという風情の人が増えて、若者の比率が減っている。日本人老人たちは若者と比較すると体も小さいので、体積比での日本人比率は人数比の場合の半分以下になるのである。

転じて、今日は、試合当事国、ウェールズ、南アの人の比率が、そんなに多くなかった。

日本人:ウェールズ人:南ア人:その他外国人が
7:1:1:1くらい。外国人比率も昨日より低下しているが、なにより、試合当事国の人の比率が昨日の半分以下、という印象。当事国の人より、アイルランドの緑の人が、目立っていて、白いジャージのイングランドの人も結構いる。

今日は、通路を歩いても、体積比で言っても、日本人比率五割くらいはあった。

やはり、試合当事国の人の比率がこれくらいだと、「勝ち負けの緊張感」よりも、「いいラグビーを見たい」という気持ち、雰囲気が、会場を支配してしまう。

試合が地味な守備つぶし合いの展開だったので、昨日は全く起きる気配もなかったウェーブまで途中で起きてしまった。(ラグビーの試合のウェーブに、僕は反対なのだが、なんか、「試合退屈だからウェーブやっちゃうぞ」みたいな雰囲気で、選手に失礼だと感じてしまうから。

まあ、今日の会場の雰囲気が盛り上がっていなかったかというと、そんなことはなくて、僕の周囲の日本人オールドラグビーファンは、みな、明らかにウェールズ応援モードで、彼らは、本当に静かに、じっと黙って観戦していて、ウェールズの好プレー、得点のときだけ拍手をする。ウェーブにも迷惑そうにほとんど反応しない。「会場を声援で盛り上げる」というより、「静かにじっと見入ることで選手のプレーを妨げない。好プレーのときだけ拍手する」という、テニスの応援みたいな雰囲気の人が多かった。
 この日本のストイックなオールドファンのスタイルも、海外の人たちから見るとストイックすぎるところがあるようなのだが、僕はなかなかいいなあ、と思う。

 何かの手違いか、演出上の方針変更、お試しなのか、得点後のキックオフ再開の際の、歌舞伎クライとかいう「イヨー」の掛け声強要・場内アナウンス演出が、なぜか今日の前半だけ、無かった。
 僕の左隣、20代後半くらいのカップルの男性の方は、この日のために歌舞伎クライを、彼女と一緒に一生懸命練習してきたらしく、大きな声で「イヨーーー」と叫ぼうとして、「あれ、今日は無い。ほんとはね。あるんだよ」と彼女に弁解していた。彼女は「練習してきたのにぃ」と、彼氏に不信、不満の声。たいへん、彼氏、かっこがつかない、と心配したが、後半からは「イヨー」復活になった。

話はちょっと横にそれるが、今大会の、DJによる演出と、観客の応援スタイルについて思ったこと。

 今大会の「イヨー」とか「三々七拍子」とか、スクラムやラインナウトのセットプレーに時間がかかっているときのちょっとした間にDJが音楽をかける演出など、初めは「いらないなあ、うるさいなあ、静かに見せてほしいなあ」と個人的には思っていたのだか、まあ、あればあったで、こういうものだと慣れてきた。でも、本当に、いるのかなあ。

 試合開始前のタイコ演出(観客席の人とCGタイコを合成して大型ビジョンで流す、映し出された人はタイコを叩くジェスチャーをする)や、ハーフタイムのカラオケタイムなど、試合中でない時のファンサービスはとても良い、海外からのファンも喜んでいた。

 でも、試合中は、試合にじっと集中する、その合間に、あるいは本当のチャンスやピンチのときだけ、自然発生的な歌や掛け声で応援する、というような応援文化にうまく収斂していくといいなあ。DJが試合中にたびたび音楽をかけて間をつながないと、観客が退屈する、と思うのは、観客をバカにしている感じがしました。選手の邪魔になっている感じもするし。

 プロ野球の鳴り物とか、Jリーグやサッカー代表の「サポーターのリーダーによる集団応援」それぞれ、そのスポーツ文化の中で成立した「応援の型」として、ファンの間で定着し愛されているから、それはそれでいいのだと思うけれど。

 ラグビーの応援は、静かに観戦するときは集中、どうしてもファンの力を届けたいときは、肉声の声や歌で自然発生で歌が歌われる、というスタイルが、世界の人にも受け入れられる応援スタイルのように思いました。

四本目 NHK BSで見直して

NHKBSで録画していたウェールズ×南アを見直す。

①ハーフペニー、ほとんどミスなかった。生観戦感想より、テレビ、録画で見た方が好印象だった。目立つキャッチミスは、最後の一本だけだった。直後感想投稿で「ミスが多かった」と書いてしまった。ごめんなさい。やっぱりあなたはすごかった。

②TV音声が応援の声を大きく拾っていたのと、観客席の南ア、ウェールズ人を選んでのアップのインサート多用で、会場で感じたより、「両国サポーター対決感」が出ていた。
 たまたま僕の周りの雰囲気が、割と静かにじっと見るオールドファンぽい人や、両チーム分け隔てなく好プレーに拍手したりする人、外国人の人も、冷静に感想を言ったりする人たちが多かったので、(キックが相手に当たるのが、双方に連続したときなんか、「School Boy Rugby Football!」とか大きな声で言っていた。)。で、「両国対決熱烈サポーター合戦」みたいな雰囲気ではなかったから。おお、テレビの方が緊迫した対決感が出ている(客席の話ね。)と思いました。

試合の中身について言うと、

③密集でのフォワード戦が多かったので、テレビの方が、誰が何をしていたかはよく分かる。ウェールズの4番、ボール、大活躍だったことが、テレビの方がよく分かった。南アのディアリエンディも、トライシーン以外もよく働いているなあ、と会場でも思ったが、テレビで見ると、それ以上にすごかった。

④ウェールズの1番 ウィンジョーンズ、3番フランシスのプロップコンビも、よく働いていたが、3番が強烈なフェルミューレン(南ア8番)のタックルじゃなくてねフェルミーレンが球もっていての激突で、肋軟骨あたりを痛めて交代したのも、ジョージノースの交代と同じくらい痛かった。

⑤南ア選手のあたりのきつさに対して、ウェールズの選手は、球に手をかけたり、確かな基本、細かな技術で対抗しているのがテレビではよく見えて、感動した。ラグビー国技の国の選手たちだなあ。

⑥テレビで、結果が分かってみていても、72分までは、ウェールズが勝ちそうな試合の流れだった。結果が分かっているのに、勝つとまた思って応援してしまった。

⑤勝負の最後の分岐点は、南ア最後の交代選手、フランカーのフランソワ・ロウが入ってきて、アラウィン・ジョーンズにがつつり絡んでノットリリースのペナルティを取ったところ。ウェールズに傾いていた流れが変わった。フランソワ・ロウは南ア、キャプテンのコリシに替わって入ったわけだが。疲れたキャプテンより、元気なフランソワ・ロウなのである。

⑤一方、テレビで見てわかったのは、ウェールズ、キャプテンのアラウィン・ジョーンズのひどい消耗具合。コリシ以上に疲れていた&おそらく体の方々が痛んでいたと思う。トライを取ったゴール前の攻防でも、そのちょっと前でも、密集に入ると、立ち上がるのもやっと、戻るのもフラフラという感じだった。しかし、ウェールズにはもうロックの交代選手はいなかった。でずっぱりのウェールズ選手の疲労、消耗、損傷状態は、テレビで見た方がむしろ生々しく伝わった。

さて、ここからが本論、問題提起です。

⑥試合の流れをもうすこし遡って、テレビ放送でもアナウンサーも興奮した、ウェールズのトライにつながるシーンの、二回の「ペナルティをPG狙わなかった選択」について。
 59分、18番、フランシスと交代で入っていルイスが、みごとに絡んでノットリリースを取ったところ。だいぶ角度も距離もあるところ、しかもダンビガー交代直後で、新たに入ったパッチェルが蹴るのか、ハーフペニーが蹴るのかまたはっきりしないときだったけれど、あそこですぐPGを蹴って16-12にして、あと20分の勝負に行くべきと、妻も私も思ったので、あそこがひとつの分岐点。

 それをタッチに切って、ラインアウトから、南アゴール前でフォワードで延々攻めた末、ゴール真ん前でオフフィートのペナルティをもらったのが、63分。
 NHKの解説、砂村さんも、「ここはフォワードも消耗しているから、冷静に、PGを狙ったほうがいいですね」と断言。

しかし、アラウィンジョーンズはスクラムを選択。

NHKの豊原アナも大興奮。会場の僕の周りも大興奮。

しかし、僕と妻は不満。妻は「PG狙え」と声を出す。

ここは、しむちょんはじめ、ラグビー詳しい人の意見もぜひ聞きたいところ。

みんな、前回大会の、日本×南アの、エディさんもPG狙えと言ったのに、リーチがスクラム選択して大興奮、攻めて成功して大逆転、の記憶があまりに強いから、ああいうところで「スクラムを選択するのがかっこいい選択。PGを狙うのは弱気」みたいになっちゃっているけれど、どうなんだろう。

結果はスクラムからの攻めで、トライ。そのあとの難しい角度からのコンバージョンもハーフペニーが成功。同点に追いつく。会場の盛り上がり最高潮。アラウィンジョーンズの勇気ある選択、大成功。たしかにそうだけれど。

でも、ここ、時間が63分、まだ15分以上、戦うところなんだから。

後半、南アがトライを取って、16-9とリードした後。南アは硬くなったのか、急にミスを連発して、流れが明らかにウェールズに来ている。

たしかに「流れが来ているうちに同点に追いつけたら最高」と思うけれど。

しかし、同点に追いついたら、南アの気持ちは「守りたい、逃げ切りたい」から「攻めてもう一回。ウェールズをぶっ潰す」に変わる。こうなると、体力とフォワード交代選手層で勝る南アがまた有利になってしまう。

むしろ、「逃げ切りたい弱気が出る南ア」「追いかける勢いを持続するウェールズ」という、この流れ最終盤までひっぱったほうがいいのじゃないかしら。PGを決めて16-12.これなら、「ワントライ、コンバージョンなしでも16-17で逆転」という状況で、最後の5分を戦える。その方がいいような気がするんだけどなあ。

「同点、さあここでいちから仕切り直し」になったら、南アの方が体力残っているのが。丸出しになる。
それよりは、「逃げ切りたい南ア、攻め続けるウェールズ」の流れのままの方が、ウェールズの根性が持続したのじゃあないかなあと、思うんだよなあ。準々決勝フランス戦も、ぎりぎり最後まで負けていて、最後に逆転したでしょう。あの流れの再現をしてほしかったなあ。

実際起きたのはウェールズの気持ち的に
「やった!追いついた」
「突き放された、がっくり」
「あせってもう自陣から脱出できない」

体力もそうだけれど、流れとメンタルが、最後の3分、持たなくなったということだったから。

妻は本当に不満そうで、スタジアムから小机の駅に向かう間もずっと「桐蔭の高校生なら、あそこはPG。間違いない。むしろ大学ラグビーだと、ああいうところ、トライを狙いがち。あたしは桐蔭の高校ラグビーが好き。トライを狙う方が勇気があるって、ラグビーは別に勇気のあるなしを競っているんじゃなくて、最後に1点勝っているという結果を求めるのが、決勝トーナメントの勝負でしょう。あそこはPGで3点しっかり取って、最後の最後に勝ちを狙う時間と状況。どうしても納得できない。」と力説していました。僕も、妻に賛成。だけれど。

「でもなあ、これだけ手負いの状態、主力選手が怪我だらけだと、ウェールズが勝ち上がっても、イングランドに勝つのは難しい感じがする。決勝がどうなるかわからない、という南ア×イングランドの対戦になるほうが良いとすると、あれはあれでよかったのかなあ。」と、さらに深いことを妻はつぶやいていましたが。たしかに、ウェールズには、この前のサッカーワールドカップのクロアチアのような魅力があるけれど、決勝ではボロボロになっちゃったんなあ。とはいえ、僕は、強みがはっきりしている南アの方が、エディさんは対策が立てやすくて、謎の精神力で強さを発揮するウェールズの方が嫌だったんじゃないかと個人的には思う。現在戦力で言えば、たしかに妻の言う通り、イングランド×ウェールズになっていたらイングランドがかなり有利だけれど。

いちおう、反対の意見、あれが、勝つための最善の選択だった、という意見も、当然ある。それはわかっている。アラウィンジョーンズは、おそらく自身の体力的限界、交代選手全部出し切った後の自分のチームと南アの状態を考えると、試合が先に進むほど、両者の戦力差が開くと考えて、今、流れが来ているこの瞬間にできるだけたくさん点を取るという選択を、勝つための最善手として、したのだ、という意見は当然あると思う。それはそうなのかもしれない。

それでも、あえてこういう問題提起をするのは、「PGを選ぶか」「トライを取りに行くか」については、特に決勝トーナメントでは「PGの三点を重視」した方が良いという見方もあるんですよ、そこは「勇気のあるなし」みたいな話とは違う、ということを言いたくて。

ということで、日本中の多くのラグビーファン大絶賛の「PGを狙わず、の選択を二回続けてトライを取ったウェールズの選択」に対し、おそらくかなり少数派として、異論反論を掲げているのですが。みなさんはどう思って観ていましたか。ご意見、いただけると、うれしいです。

五本目 日テレを見直して、中野謙吾アナを見直した。

昨夜の、南ア×ウェールズ戦、日テレの放送、録画してあったのを見直す。(NHKBSとJスポーツのものはすでに昨夜見た。)

日テレ局アナ、中野謙吾アナの実況が、なかなかに良い。日本戦だと、やはりちょっと興奮しすぎるが、昨夜のような、日本以外の国の試合の実況は、なかなかよくなっている。この半年の間の、努力改善勉強の成果、ちょっと感動。むちゃくちゃ批判して来たけど、ごめんなさい。

思い起こせば、8か月前。中野アナは、このワールドカップでの実況のための武者修行として、他局であるWOWOWでの、シックスネーションズ 2月10日の、アイルランド×スコットランド戦の実況に「出げいこ」のように挑戦、ということをしています。

それを視聴して、あまりの出来の悪さに私は怒り心頭、ツイッターに以下のような連投をしています。

「はらまさき
@wpboyoyon2月10日
WOWOWのアイルランド×スコットランドの実況、今年ワールドカップ実況の練習のためか日テレの中野謙吾アナが挑戦していた。本番で実況するのだと思うので、批判してもしかたないと思うので、改善してほしい点を
連投、書きます。

①高校サッカーでスポーツ実況修行をする日テレアナ共通の欠点として、「事前に下調べした知識、情報」を、一生懸命喋ろうとします。それは試合が緊迫していない時にしてください。プレーが緊迫、ターンオーバーして大きくゲインという場面で豆知識はいりません。

②「世界ランク二位、NZより強いかもしれないアイルランド」「日本と対戦する両国」という決まり文句、ザッピングで途中から見る人が多い地上波では20回繰り返す必要がありますが、WOWOWでは初めに一回言えば、繰り返す必要はありません。

③とにかく、今、ピッチ上で起きていること、ボールキャッチキック、タックル、ジャッカルなど、プレーに絡んでいる選手の名前を、淡々と呼び続けてくれると助かります。誰がキーマンで、誰がよく働いているかは、それを聞いているだけで分かってきます。

④サッカーでも、ラグビーでも。英語の実況はボールタッチしている名前を呼ぶことが8割。基本です。この試合をVTR再生して、その練習をするところから修行し直してほしいと思います。それだけで選手の特徴、チームの特徴が理解できると思います。

⑤アナウンサーが、わかりやすくボールに関わっている選手名を言っていくのに対し、解説者が、直接かかわっていない様に見えて、気の利いたプレーをしている、重要な選手、その役割を解説する。と、プレー全体がよく分かってきます。」

そして、中野アナに対しては、私以外にも、他にもツイッターで厳しい意見が相次ぎました。

「どてみかさ
@dotemikasa2月10日
事前に勉強するにしても、エピソード調べはネットを触ってできるもの。
競技の理解を深めるのは、たくさんの試合を観ることの積み重ね。
時間がかかるのはどちらか、大変なのはどちらか。すまんけど、大変な方を選んで、目の前の試合の実況を充実して欲しいんだわ。

サッカーなんかもそうなんだけど、実況が予習してきてるんだけど、それがスター選手中心のプロフィールやエピソードで、それを時に流れを無視して、一生懸命披露するということが頻発する

分かってない実況使うぐらいならジェイ・スポーツに返して欲しい」

「ranalita@min_4418  2月10日
放送がWOWOWになってから初めてみるシックスネーションズ。実況のテイストが地上波っぽいのね…

実況「サモア、ロシアには勝つとして」ってそういうの要らないよ?」

私の中野謙吾アナ攻撃は翌日も続く。
「はらまさき@wpboyoyon
イングランド×フランスの、住田洋アナ実況と較べて昨夜の日テレ中野謙吾最低っぷり再確認。ワールドカップで中野はじめ地上局アナが実況やるのなら、住田さんレベルになるよう特訓してほしい。ボールタッチ選手タックル選手名前を呼ぶ練習。予習豆知識我慢する修行

ボールタッチ選手タックル選手名前を呼ぶ、を原則とする実況をするからこそ、「今日はバスタローの名前をほとんど呼びません」と、フランスの中心選手が活躍できていないという今日の試合の特徴が浮かび上がるのである。」

さらにその後も、中野アナの名前は出さないが。
「@wpboyoyon 3月11日
アイルランド×フランス戦の赤平大アナ実況、今期シックスネーションズ実況の中で最高でした。選手名完璧、余計な小ネタ最小、競技理解深いのに、競技経験ないから「私のような素人が」と謙遜しつつ解説斎藤祐也氏の的確な戦術技術解説をタイミングよく引き出す。120点。」

そこから8か月。

昨日の中野アナの実況。ボールタッチ選手名を呼ぶ、解説の話を引き出す、に加え、ルールの解説を随時交える。予習エピソードは最小限、ゲームの流れを阻害しない。初心者も見る民放地上波の放送として、素晴らしい出来でした。

視聴率も、日本戦でないにも関わらず、19.5%。瞬間最高では26.9%。ツイッター上でも、日本戦でないにも関わらず、ラグビーの面白さに引き込まれた多くの、今大会ではじめてラグビーを見た人たちの声があふれていました。

ラグビー人気爆発の功労者の一人に、中野謙吾アナを挙げてもいいと思いました。

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