映画『ジュリエッタ』と小説『ジュリエット』。どちらを先に。 [文学中年的、考えすぎ的、]

ノーベル賞作家、カナダのアリス・マンローの『ジュリエット』という短編集の中の、連作となっているものを、スペインの映画監督(『オール・アバウト・マイ・マザー』の)ペドロ・アルモドバルが、舞台をスペインに移して映画化したのが『ジュリエッタ』。映画の方から観てしまった。
 小説・本の方のAmazonの内容紹介が(すごいネタバレあり、注意)「海で死んだ夫。突然姿を消した二十歳の娘。届かない互いの思いを描く連作短篇を巨匠アルモドバル監督が映画化! ジュリエットという一人の女を主人公に、行きずりの出会い、妊娠と結婚、夫の死、そして母娘の愛と確執を描く連作三篇を中心に、人生の不可解をそのまま投げだすような、ビターでサスペンスフルなマンロー円熟期 の短篇集。傑作揃いのマンロー作品のなかでも特筆すべき連作を、長年の愛読者であるアルモドバルがつい に映画化。」と、なぜか半分、映画の紹介のようになっている。本の方、読んでいる途中で、本をなくしてしまって(家の中で行方不明)、どうしようかなあ、と思っていて。そうしたら、WOWOWで映画をやっていたので録画してしまい。小説読みかけなのに、映画を見るべきか見ざるべきか悩んでいたのだが、見てしまった。面白かった。作家がすごいのか、監督がすごいのか、というと、どっちもすごかった。
 女性の心理描写のすごさがアリスマンローの小説の特徴というか、男性作家では、もう、絶対無理という感じがするんだよな。映画だとポンポンとテンポよく筋が進んでしまって、たくさんいる女性登場人物たちそれぞれについては、わりとサラっと描かれてしまうのだけれど、これ、小説だと、それぞれの人生の重みからくる、微妙な心理の動きが、なんか読んでいていちいち動揺してしまうくらいの感じで表現されていきます。ということで、読みかけの小説の方をなんとかしたくなったのだが。しかし。映画の冒頭でのセリフに「本の二度買いはしたくないのよ」というのがあり。そうなんだよな。いろいろ悩む。
 映画の方も、女性を描かせたら世界一というか、女性を描く映画しか撮っていないんじゃないのというアルモドロ監督で、この監督の映画の女優さん、とにかく美人。すさまじい美人。そういえば、ペネロペ・クルスが国際的に有名になったのは「オール・アバウト・マイマザー」だった。(この映画には出ていません)。若き日のジャリエッタを演じるアドリアーノ・ウガルデもきれいだけれど、現在の、50代かな、のジュリエッタを演じるエマ・スアレスさんのきれいなこと、まあ。あと、家の中の装飾とか美術とかの色彩が、とてもきれいな映画です。
 カナダの小説を、スペイン舞台に移したために???になっているのが、主人公と夫が出会う長距離列車が、雪原の中を走り、窓からヘラジカが並走しているのを見る、というシーン。スペインにこんな大雪原はあるの?ピレネー山脈ふもとならあるのかな・でもヘラジカはいないんじゃないの。あれ、ヘラジカじゃないのかな。あんな大きいシカ、スペインにいるのかな。まあ、気にしなくてもいいけれど。



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