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理想のスポーツ中継としての、NHK 全日本柔道選手権について。 [スポーツ理論・スポーツ批評]

スポーツ放送の、ひとつの理想形として、私は、NHKが放送する、全日本柔道選手権があると思います。

 柔道日本一を決める、無差別級の大会です。全国各地の予選を勝ち上がった選手と、全柔連推薦の選手、合わせて42人が、日本一を争う大会です。この大会、放送しやすい理由があって、日本武道館で行われるんですが、試合場が、ひとつしかないんですね。一試合ずつ、試合が行われるんです。

 だから、放送しようとすると、そのときやっている試合を放送するしかないわけです。

 午前中から試合は始まっているんですが、テレビの中継は、まず、午後一時からBS1で始まります。二回戦の途中からになります。今年の放送も、始まった瞬間から、そのときやっている試合(加藤博剛と上林山)の試合をそのまんま放送してくれます。余計なオープニング映像も、あおりVTRもなく、すぐに試合そのものを放送します。そのおかけで、体重160キロもある上林山を、加藤が、(主戦場は90キロ級で、この日も100キロあるかないかの体重、しかし日本一の業師、ミスター全日本と柔道ファンに呼ばれている)、見事な小外刈りでぶん投げるところが、きちんと放送されます。(もし民放で放送していたら、オープニングあおりVTRを流しているうちに、この試合は放送されずに終わってしまったでしょう。)

「くだらないCG満載オープニング映像+あおりVTR」と、「業師、ダークホース加藤(実はこの後、今大会の主役になる)が、160キロの巨漢をぶん投げる試合そのもの」どちらが大切か、視聴者がどちらを見たいか、言うまでもないですよね。

 それに続いては、あの、ロサンゼルス、ソウル、二大会連続五輪金メダルの故・斎藤仁さんのご子息、まだ高校三年生の斎藤立の試合です。斎藤選手は高校では無敵の怪物のような強さ、かつ、お父さんに姿かたちも、技のかたちもそっくりということで、柔道ファン大注目の選手です。もし民放ならば、そうした「父の映像、父が子に稽古をつけている映像、高校の大会での映像、なんやかんや、親子の感動のドラマ」みたいなVTRを作って、アナウンサーもくどいほど「父、斎藤仁さんの魂が」みたいなことを、おそらく試合中30回くらい叫ぶに違いないわけですが、NHKでは、そのような余計な演出は一切ありません。淡々と試合を中継します。そして、試合は見事な大内刈りで斎藤選手が勝ち。演出ではなく、試合の中身が、斎藤の非凡な才能を見せつける。試合が終わった後に、斎藤仁さんと全日本で何度も死闘を繰り広げた山下 泰裕さんをちらっと映し、親子を共に知る国士館高校の監督のコメントを一言紹介するだけ。
 とにかく、試合がテンポよく、切れ目なく続くので、余計な演出を入れている暇がない、つぎつぎ注目選手が出てくるので、試合を映しているだけで、面白い。

 本当は、民放で放送される柔道の大会も、同じように次々と試合が行われ、演出盛り上げVTRなんて入れている暇は本当は無いわけですが、民放ではそうした演出を入れるために、本当は放送すべき大事な試合が、全く放送されないということが起きているわけです。

 試合が三回戦まで進み、ベスト16が戦っているところで、地上波NHK総合に中継が引き継がれます。今年は、BSで中継している最後の試合、佐藤和哉対熊代の試合で大事件が起きました。両者、消極的で全く技を出さず、両者ともに三階指導を取られて、両者反則負け。
 この試合を解説していた穴井隆将・天理大学監督(全日本二回優勝経験あり)の解説が立派だった。審判の指導を取るタイミングに苦言を呈しつつ、こういう試合になった両選手を厳しく批判した。
 面白い試合だけでなく、こういう、「本当にダメな試合」も放送されることが、実は大切で、「何が大切で、何がダメなのか」ということが、いい試合だけでなく、ダメな試合も見ることで、わかってくるわけです。

 さて、ベスト8がぶつかる準々決勝。
この大会で、最大の注目は、原沢久喜。リオ五輪で、無敵最強王者、フランスのリネールをあと一歩まで追い詰めて銀メダル。しかし五輪後に調子を崩し、国内でも海外でも全く勝てなくなった。それが今年に入り、復調。海外の大きな大会、グランドスラムでも優勝し、今夏の世界選手権代表の最有力候補。この大会もここまでの勝ち上がりは完璧。というようなことは、アナウンサーが淡々と説明するが、「あおりVTR」は無し。準々決勝の対戦相手は東海大四年生の太田彪雅。学生としては強豪だが、世界選手権代表争いに絡むほどの実績は無い。しかしこれが、大健闘。ゴールデンスコア迄もつれ込んだ試合は、最後、見事な一本背負いで、太田が原沢を投げる。

 これが、民放の放送で、「原沢主役」あおりVTRを
さんざん流した後に、こうなったら、「あらあら主役が負けちゃった」がっくり、となるのだが、そういう余計な演出が無いから、ものすごい熱戦で、太田が勝った、という印象が視聴者には強く印象付けられる。

 次は先ほど紹介した、業師、加藤博剛と、これも若手だが業師の影浦心。影浦は国際大会でもまずまずの成績を残しており、原沢が直前で敗れたため、この全日本で好内容で優勝すれば、もしかすると世界選手権代表の眼もあるか、という心の揺らぎがあったか。
 試合はわずか12秒、初めに組手争いをしていた流れのまま、業師加藤が、見事な支えつり込み足で、影浦を宙に舞わせて、一本。会場からも大きなどよめきが起きる。やはり、加藤は全日本では毎回、すごい、強い。

 加藤は、国内の大会、特に全日本ではめっぽう強く、100キロ級以下の選手であるにも関わらず、優勝一回、三位二回、自分より大きな選手を、巧みな投げ技寝技で仕留めて大活躍する。
 しかし、その実績で国際大会に派遣されると、なぜか、これが、からっきし弱い。たいてい一回戦二回戦でころっと負けてしまう。「国内専用選手」「全日本専用」と言われるくらい。国内と海外で強さが違う。柔道ファンはそのことを、あらためて今大会も確認しつつ、「やっぱり加藤は全日本ではめっちゃ強いなあ」と楽しむわけである。

 この加藤、やはり寝技業師で、国際大会でも活躍している女子57キロ級の角田夏美(美人選手)とつきあっているというのも話題なのだが、NHKなので、当然、そういうことには触れない。

 次は、王子谷剛志と、ウルフ・アロン。王子谷は日本選手権三回優勝だが、加藤同様、国際大会で勝負弱いため、世界選手権代表の可能性は低くなっている。しかし、国内、この全日本ではすごく強い。原沢も負けたことだし、俺が優勝だ、という気合が入った顔で登場。一方、100キロ級のウルフアロン。二年前の決勝の組み合わせである。ウルフは、100キロ級での世界選手権代表がすでに決まっていて、特に参加する必要はなかったのだが、どうしても全日本のタイトルが欲しい、日本一になりたいという思いでこの大会に臨んでいる。両者ここまで絶好調での激突。延長まで入り、ウルフが豪快な内股で一本。

 準々決勝もう一試合は、小川雄勢(小川直也氏の息子)、相手が両者反則負けでいないので、不戦勝で準決勝に上がった。

 準決勝までしばらく間があく間、ここで初めて演出VTRが入るのだが、なんと、1964年の東京五輪、というと、今まではヘーシングに負けた神永昭雄選手のエピソードや、柔道界の中心で活躍し続けた岡野功氏や猪熊勲氏が取り上げられることが多かったのだが、軽量級で優勝した中谷雄英氏の試合と現在の氏へのインタビューという渋い内容。

 そして準決勝。
業師、加藤と、大本命原沢を破った太田。業師加藤が次々と巴投げ、そこからの寝技を繰り出し、太田が膝を痛める。もう踏ん張りがきかず、加藤が見事な巴投げで一本勝ち。七年ぶりのの決勝進出を決める。

小川雄勢とウルフアロンの対決。一試合休んで体力には余裕の小川と、王子谷と延長を戦ってのウルフアロン。しかし、ウルフは本当に強かった。体重が30キロ以上重い小川を、見事な大内刈りでぶん投げて、ウルフの勝ち。

 ここで決勝まで時間があくのだが、毎年恒例、一回戦から準決勝までに出た、すべての「一本」をまとめたVTR「今日の一本」が流れる。これは、民放の柔道放送でも、ぜひ、まねをしてほしい。

注目選手、有名選手でなくても、素晴らしい技を決めて、見事な勝ちを挙げた選手のことを、日本中の柔道ファンにしっかり届ける。

サッカー番組の「今週の世界のスーパーゴール集」とか、Jリーグ番組の「今日の全ゴール」とか、古くはプロ野球ニュースの「今日のホームラン」。ああいうの、見ると興奮するでしょう。すごいなあって思うでしょう。

「有名選手かどうか」ではなく、純粋に「技としてすごい」というのを、まとめて見せてほしい。東京グランドスラムや全日本選抜、講道館杯など、民放(主にフジテレビだが)が放送するわけだが、注目選手紹介のくだらないVTRを何度も流す暇があったら、日本選手外国選手全員の、「見事な一本集」を流した方が、ずっと良い。

 「日本人の技はきれいだが、外人は力任せで柔道ではない」みたいな古臭い先入観を持っている人がまだまだ多いが、グランドスラムでも世界選手権でもオリンピックでも、日本人選手だけでない、全選手の「今日の一本」を放送してくれれば、実は、今や世界中の選手が、美しい柔道の技を使えるようになっていることがわかると思う。今どきは海外の選手もYouTubeはじめ様々な媒体で日本人選手の美しい技を研究している。また世界中の、いままであまり柔道がさかんでなかった国にも、日本人のコーチがナショナルチームのコーチになったりしている。また、日本で生まれ育った、二重国籍を持っている選手が、外国の代表で世界選手権や五輪にも出てくる。
 柔道の技にもそのときどき流行があり、日本人が最近あまり使わなくなったような古典的な技を、外国選手が研究して上手に使ったりもする。柔道が本当に世界で愛され研究されているということを知る上でも、世界選手権で外国人選手含む「今日の一本」を放送してほしいなあ。

 決勝戦は、業師加藤と、今年の世界選手権100キロ級代表、ウルフアロン。加藤は90キロ級の選手。体重無差別の大会で、100キロ以下の選手同士が決勝戦、というのは過去例がない。しかしこれも、柔道が体格でも力でもなく、技、相手の力を利用する技術、また、相手の心の動きを読んで試合の流れを作る技量、そうした総合力で戦う競技であることが証明された決勝戦の組み合わせ。

 加藤が上手な組み手でウルフの技を封じて、技が出ないが緊迫した好内容で延長に。ポイントがなくても、技が出なくても、好内容の勝負がある、ということが、穴井さんの名解説でよく伝わる。
 延長に入ると、加藤が巴投げ、ウルフの体が大きく浮くが、ウルフが空中で姿勢を制御して、ポイントなし。
 流れをやるまいと、すかさずウルフも技を繰り出す。
延長1分半になるかというとき、がっちりと組み手を制したウルフが、支えつり込み足を繰り出すと、加藤が豪快に宙に舞い、ウルフ技あり奪取。見事な優勝でした。

 ウルフの男泣きのインタビュー、その後、ウルフと加藤が和やかに語り合いながら、参加選手全員が畳に上がっての表彰式、井上康生全日本監督へのインタビューと、続いて放送終了。

ね、柔道の試合自体の魅力が100%伝わるでしょう。余計な演出はいらないでしょう。これが、スポーツ中継の理想形だと思います。。


追記

最年長33歳業師・加藤と、最年少17歳・斎藤立 の名勝負を書くのを忘れました。国士館の先輩後輩です。三回戦で激突して、体重差40キロくらいあったのですが、まずは小内巻き込みで加藤が有効を取り、試合半ば、巴投げくずれのような形で寝技に引き込んだ加藤が、斎藤の肘を極めながら裏返して後ろ袈裟固めで一本勝ち。まさに相手を「子ども扱い」して完勝でした。業師の面目躍如、この試合もあって、準優勝ではあったけれど、この大会の主役は加藤だったかなと思います。





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最悪の世界リレー中継大会一日目。でも大会は最高に面白かったのだ。TBSはもったいないことをしたのだ。 [スポーツ理論・スポーツ批評]

最悪の世界リレー中継大会一日目。でも大会は最高に面白かったのだ。

ここからは、一晩明けて書いたこと。

「それからね。

昨日の世界リレーでの快挙のひとつは、男子マイルリレー(400m×4)で、日本男子が、予選2組一着で決勝に進んだこと。しかも、参加16か国(一か国棄権して走ったのは15か国)中、アメリカ、トリニダードトバコに次いで、全体三位の好タイムだったこと。マイルリレーの人気は、世界的に言うと、100m×4と並んで、きわめて高い。もしかすると100m×4よりも人気が高いかもしれない。そういう大メジャー競技でのこの成績は、本当に快挙。

だから、今日の二日目は、マイルリレーの男子が。決勝でどこまで戦えるか、という、大注目の話題が実はあるのですが、残念ながら昨日の一日目、地上波放送だけを見た人は、そんなことはひとかけらも知りません。
期待の男子、100m×4リレーでバトンに失敗したことしか知らないので、今日の放送は見るつもりもないでしょう。

 さて、ここから、昨日に引き続き、TBS批判ですが、TBSのビジネスのために、スポーツ番組で視聴率を取るために、という建設的意見として書こうと思います。

TBSは、日本で人気があるのは、オリンピックや世界陸上で連続してメダルを取っている100m×4 男子「だけ」と考えた。だから、地上波での放送は、他の種目は、おまけ的に余裕があれば流すが、とにかく「男子100m×4」だけに注目が行くように番組の構成を考えた。

TBSの、というか、日本の地上波テレビ局のスポーツ番組づくりの考えは、ほぼどこもこんなかんじ。視聴者を以下のように馬鹿にしている。
①ほとんどの視聴者は、過去に実績のある、過去のメダリストしか知らないし、興味がない。
②ほとんどの視聴者は、競技、スポーツそれ自体の面白さはよくわからないので、人間ドラマなどサブストーリーも一緒に伝えないと興味を持ってもらえない。

よって、過去のメダリストやスター選手だけに密着して、過去紹介VTR、試合直前の控室の様子など、「注目選手だけ」を放送し続ける。(他の種目や、他の選手が競技をしていても、それは放送しない。)

この放送の作り方の場合、その注目選手が期待通り活躍したときは、盛り上がるので大成功です。

しかし、スポーツは「筋書きのないドラマ」です。昨日のバトン失敗のように、注目選手、種目が、早々に負けてしまう、ということは、まま、起きます。
そうなったら、その大会は「つまらない大会」なのでしょうか。

そんなことはありません。昨日の世界リレーでも、新競技「シャトルハードル」で日本女子が銀メダルを取り、これも新競技の2×2×400mでも、日本の若手が銅メダルを取りました。
どちらも、今まで見たこともないような、面白い競技で、シャトルハードルは、水泳のように、四人の選手が100mトラックをいったりきたりしますし、
2×2×400mは、一回400mを走った選手が、およそ50秒ほどもう一人が走った後に、二回目の400mを走る、という競技で、解説の朝原さんも「とてつもなくきつい競技なんです。これだけきついことに挑戦するということが伝わればと思います」と解説していました。そんなきつすぎる競技で、日本の若者が銅メダルを取ったんです。

そして、世界で最も人気のあるマイルリレーで日本男子が、史上最高の走りを見せて決勝に進んだんです。

こんな面白い大会は、いままでなかった。本当に素晴らしく面白い大会一日目だったんです。

このことが、TBSの地上波放送を見ていた人には、ひとかけらも伝わりませんでした。

なんともったいないことでしょう。今年、この面白さに気づいたら、来年はもっともっとたくさんの人がこの大会の放送を見ただろうに。
来年と言わず、一日目の放送を、4×100m男子だけをえこひいきせず、面白い競技、せめて日本選手が大活躍した競技だけでも、きちんと放送していたら、
二日目の放送は、大注目を集めたでしょうに。

何度でも言います。柔道でも、陸上でも、およそスポーツというものは「期待したスター選手があえなく敗退する」ことも起きる代わりに
思いもしなかった、新しい選手が、新しい種目が、いままで注目されなかった選手や種目が、驚くべき面白さや感動を与えることが起きるものです。

それが日本人の場合もあるし、日本人選手ではないけれど、ものすごく心動かされる活躍をする選手も出てくるわけです。

そういう、スポーツの持つ素晴らしさを、どうやったら漏らさず伝えられるか。テレビ局に求められているのは、その工夫です。
もちろん、期待のスター選手、期待の種目を伝えることも大事ですが、くだらない人間ドラマを作ったり、過去のスター選手のVTRを長々と流したり、
控室やアップの様子をだらだらとレポートしたりすることは、スポーツ中継には、はっきり言うと、不要です。

スポーツ競技、それ自体の持つ素晴らしさ、感動を、どうやって伝えるか。その第一歩は「今、実際に行われている競技それ自体を、
余計な演出なしに、なんだったらリプレーだって
そんなにいりません。今まさに行われている競技自体を、しっかりと放送すること。

そして、その競技への愛情と理解と尊敬を持った解説者とアナウンサーが、くだらないエピソードではなく、
その競技内容自体を、余計な演出なしに中継解説することです。

どのプレーが素晴らしいのか。どのプレーが感動すべきプレーなのか。それを、いちいち初心者向けに解説しなくても、
競技理解の深いアナウンサーと解説者が、本心から感動ながら実況解説していれば、
そのスポーツの面白さは、よくわからない素人視聴者にも「感覚的」に伝わるものです。
そうか、こういうプレーがこのスポーツではいいプレーなんだ。ここが見どころなんだ。
こんなに解説者が叫んでいるっていうことは、これはすごいことなんだな。

そもそもリレーっていうのは、小学校の運動会だって、見ていれば自然に興奮するものです。面白いんです。
人間は、ものすごく速く走る人間が競争しているのを見ると、自然に興奮するように、進化の過程で遺伝子レベルでそうなっているんです。
走るのが速い人間は、狩りででっかい獲物を捕まえたり、戦争で相手をやっつけたりする能力の高い人なわけですから、
そういう人間が、すごいスピードで走っているのを見ると、人間という生き物は興奮して感動するようにできているんです。余計な盛り上げ情報はいらないんです。

テレビ局のスポーツに関わる皆様、それに助言を与える広告代理店の皆様には、
オリンピックを前にして、こういう、スポーツの魅力の「基本の基本」を、きちんと心に刻んでほしい。

それから、今回であれば、日本陸連ですが、各競技団体の偉い方々。全柔連も、日本ラグビー協会も、すべての競技団体の偉い方たちに申し上げたいのは
地上波テレビの「下手な盛り上げアイデア」に騙されないでください。それは、確実に、ファンを怒らせ、減らします。ツイッターなどの反応をきちんと見てください。
たいていのフィギュアスケートファンは、テレ朝の放送に怒っているでしょう。ほとんどの陸上ファンは昨日の世界リレーに怒っているでしょう。
ほとんどのゴルフファンはTBSのマスターズ放送に怒っているでしょう。ほとんどのラグビーファンは、日本vs南ア戦の奇跡の快挙を放送しなかった日テレを許していないでしょう。

地上波テレビ局の現在のスポーツ放送の在り方は「視聴率」という数字を追うことに目を奪われて、「本当のスポーツファン」を激怒させ、
それだけでなく、今はよくわからない普通の視聴者が、本当のスポーツファンになっていく「スポーツそのものの魅力に気づく」機会を奪っています。

全柔連の皆さん、日本陸連の皆さん、日本ラグビー協会のみなさん、自分たちの競技のもつ面白さに自信をもってください。

テレビ局に対して「くだらない盛り上げ策ではなく、とにかく、一試合、一競技でも多く、試合そのものを、競技そのものを放送すること」を、放送権を販売するにあたって、条件にしてください。

フィギュアスケートであったら、「日本人スター選手の盛り上げVTRや控室の様子を流す時間があったら、外国人選手の試合、競技している姿をきちんと放送してください。」と交渉してください。これは多くのフィギュアスケートファンもそう思っている、賛成してくれると思います。
全柔連であったら、例えば選抜体重別のような国内大会であれば、「過去のメダリストだけに注目するのではなく、できるだけ全部の試合、全部の階級を放送してください。思わぬスターが登場する瞬間を逃さない様にしてください」と交渉すべきです。日本の柔道のレベルの高さは、メダリストと互角の選手がどの階級もひしめいていて、メダリストだって国内大会だ勝てる保証は全然ないほどすごいのだ、ということが伝わる放送にしてもらいましょう。
ラグビーワールドカップにあたっては、「日本戦以外の試合をきちんと放送すること」を徹底してください。南半球の、ヨーロッパの、太平洋の島の人たちの、それぞれのラグビーの楽しさが十分伝わるようにしてください。そうすれば、そういう国と日本の試合を見る楽しさも何倍にもなりますし、もし、日本が一次リーグで敗退することになっても、決勝トーナメントも盛り上がって、視聴率も取れるようになるでしょう。そのことが、今後の日本ラグビーの育成にどけだけ大切なことかを、ラグビー協会の皆さんは真剣に考えてほしいと思います。

今の、地上波テレビ局のスポーツ担当の考え方は、古いし、はっきりと間違っています。スポーツファンがどんどん離れていく内容です。「コアなファンはどうせネット中継に流れるんだから」と、視聴者をバカにしたレベルの低い放送内容にどんどん流れていって、自分たちの首を絞めています。

そのことが象徴的に表れたのが、昨日のTBSの「世界リレー」の大失敗放送だったのです。」
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世界リレーの、TBS大失敗放送に思うこと。 [スポーツ理論・スポーツ批評]

まずは中継見ながら書いたFacebook投稿。
「TBSにはスポーツ中継する資格なし。五輪の放送権も与える必要なし。

BS-TBSで世界リレー、世界初の新種目、2×2×400(男女一人ずつが400mを2回ずつ走る)を放送中、第3走者からアンカーに渡るところで突然放送終了。(8時50分まで。)地上波にリレーかと思いきや、地上波はまだ前の番組を放送中、地上波世界リレーに切り替わっても(8時52分)、男子100×4リレーメンバーのアップ映像を流すだけ。

2×2×400mリレーは、実は日本の若手二人、
クレイアーロン竜波(相洋高校)
塩見綾乃(立命館大学)
みごと3位銅メダル獲得。この快挙を放送しないとは。しかも競技途中でぶったぎるとは。

地上波放送は男子100m×4のあおり情報、織田裕二と中井美穂のおしゃべりを流し続ける。

選手、競技、「今やっている競技」への敬意の無いTBSには、スポーツ中継をする資格はない。今までもいろいろひどかったが、今日のは最悪。

電通現役スポーツ関係のみなさん、TBSにきちんと要望を出して、東京五輪中継がまともな放送になるようにお願いします。このような放送の仕方では、視聴者が怒って、中継をぶったぎって流れるTVCM広告主までもが「悪者」に見えてしまいます。視聴者の怒りが広告主にまで向けられてしまいます。広告主のためにも、TBSがまともなスポーツ中継をするよう、五輪に向けて、なんとかしていただきたく。

チケット受付初日に東京五輪の陸上走り幅跳び決勝の時間と、男子100×4の決勝の時間帯、柔道60、66、73の3日間予選決勝全部、ハンドボールの決勝戦のチケット予約申し込みをしてしまった。本当に見たい競技は観に行くか、ネット中継でちゃんとフルにやってくれないと、地上波放送はおそらく日本選手あおりVTRだらけで、まともに競技を放送しない最悪放送だらけにこのままだとなるなあ、確実に。トホホ。

と思ったら、地上波中継も競技途中で終了。まじ、最悪。」

ここからは、一晩明けて書いたこと。

「それからね。

昨日の世界リレーでの快挙のひとつは、男子マイルリレー(400m×4)で、日本男子が、予選2組一着で決勝に進んだこと。しかも、参加16か国(一か国棄権して走ったのは15か国)中、アメリカ、トリニダードトバコに次いで、全体三位の好タイムだったこと。マイルリレーの人気は、世界的に言うと、100m×4と並んで、きわめて高い。もしかすると100m×4よりも人気が高いかもしれない。そういう大メジャー競技でのこの成績は、本当に快挙。

だから、今日の二日目は、マイルリレーの男子が。決勝でどこまで戦えるか、という、大注目の話題が実はあるのですが、残念ながら昨日の一日目、地上波放送だけを見た人は、そんなことはひとかけらも知りません。
期待の男子、100m×4リレーでバトンに失敗したことしか知らないので、今日の放送は見るつもりもないでしょう。

 さて、ここから、昨日に引き続き、TBS批判ですが、TBSのビジネスのために、スポーツ番組で視聴率を取るために、という建設的意見として書こうと思います。

TBSは、日本で人気があるのは、オリンピックや世界陸上で連続してメダルを取っている100m×4 男子「だけ」と考えた。だから、地上波での放送は、他の種目は、おまけ的に余裕があれば流すが、とにかく「男子100m×4」だけに注目が行くように番組の構成を考えた。

TBSの、というか、日本の地上波テレビ局のスポーツ番組づくりの考えは、ほぼどこもこんなかんじ。視聴者を以下のように馬鹿にしている。
①ほとんどの視聴者は、過去に実績のある、過去のメダリストしか知らないし、興味がない。
②ほとんどの視聴者は、競技、スポーツそれ自体の面白さはよくわからないので、人間ドラマなどサブストーリーも一緒に伝えないと興味を持ってもらえない。

よって、過去のメダリストやスター選手だけに密着して、過去紹介VTR、試合直前の控室の様子など、「注目選手だけ」を放送し続ける。(他の種目や、他の選手が競技をしていても、それは放送しない。)

この放送の作り方の場合、その注目選手が期待通り活躍したときは、盛り上がるので大成功です。

しかし、スポーツは「筋書きのないドラマ」です。昨日のバトン失敗のように、注目選手、種目が、早々に負けてしまう、ということは、まま、起きます。
そうなったら、その大会は「つまらない大会」なのでしょうか。

そんなことはありません。昨日の世界リレーでも、新競技「シャトルハードル」で日本女子が銀メダルを取り、これも新競技の2×2×400mでも、日本の若手が銅メダルを取りました。
どちらも、今まで見たこともないような、面白い競技で、シャトルハードルは、水泳のように、四人の選手が100mトラックをいったりきたりしますし、
2×2×400mは、一回400mを走った選手が、およそ50秒ほどもう一人が走った後に、二回目の400mを走る、という競技で、解説の朝原さんも「とてつもなくきつい競技なんです。これだけきついことに挑戦するということが伝わればと思います」と解説していました。そんなきつすぎる競技で、日本の若者が銅メダルを取ったんです。

そして、世界で最も人気のあるマイルリレーで日本男子が、史上最高の走りを見せて決勝に進んだんです。

こんな面白い大会は、いままでなかった。本当に素晴らしく面白い大会一日目だったんです。

このことが、TBSの地上波放送を見ていた人には、ひとかけらも伝わりませんでした。

なんともったいないことでしょう。今年、この面白さに気づいたら、来年はもっともっとたくさんの人がこの大会の放送を見ただろうに。
来年と言わず、一日目の放送を、4×100m男子だけをえこひいきせず、面白い競技、せめて日本選手が大活躍した競技だけでも、きちんと放送していたら、
二日目の放送は、大注目を集めたでしょうに。

何度でも言います。柔道でも、陸上でも、およそスポーツというものは「期待したスター選手があえなく敗退する」ことも起きる代わりに
思いもしなかった、新しい選手が、新しい種目が、いままで注目されなかった選手や種目が、驚くべき面白さや感動を与えることが起きるものです。

それが日本人の場合もあるし、日本人選手ではないけれど、ものすごく心動かされる活躍をする選手も出てくるわけです。

そういう、スポーツの持つ素晴らしさを、どうやったら漏らさず伝えられるか。テレビ局に求められているのは、その工夫です。
もちろん、期待のスター選手、期待の種目を伝えることも大事ですが、くだらない人間ドラマを作ったり、過去のスター選手のVTRを長々と流したり、
控室やアップの様子をだらだらとレポートしたりすることは、スポーツ中継には、はっきり言うと、不要です。

スポーツ競技、それ自体の持つ素晴らしさ、感動を、どうやって伝えるか。その第一歩は「今、実際に行われている競技それ自体を、
余計な演出なしに、なんだったらリプレーだって
そんなにいりません。今まさに行われている競技自体を、しっかりと放送すること。

そして、その競技への愛情と理解と尊敬を持った解説者とアナウンサーが、くだらないエピソードではなく、
その競技内容自体を、余計な演出なしに中継解説することです。

どのプレーが素晴らしいのか。どのプレーが感動すべきプレーなのか。それを、いちいち初心者向けに解説しなくても、
競技理解の深いアナウンサーと解説者が、本心から感動ながら実況解説していれば、
そのスポーツの面白さは、よくわからない素人視聴者にも「感覚的」に伝わるものです。
そうか、こういうプレーがこのスポーツではいいプレーなんだ。ここが見どころなんだ。
こんなに解説者が叫んでいるっていうことは、これはすごいことなんだな。

そもそもリレーっていうのは、小学校の運動会だって、見ていれば自然に興奮するものです。面白いんです。
人間は、ものすごく速く走る人間が競争しているのを見ると、自然に興奮するように、進化の過程で遺伝子レベルでそうなっているんです。
走るのが速い人間は、狩りででっかい獲物を捕まえたり、戦争で相手をやっつけたりする能力の高い人なわけですから、
そういう人間が、すごいスピードで走っているのを見ると、人間という生き物は興奮して感動するようにできているんです。余計な盛り上げ情報はいらないんです。

テレビ局のスポーツに関わる皆様、それに助言を与える広告代理店の皆様には、
オリンピックを前にして、こういう、スポーツの魅力の「基本の基本」を、きちんと心に刻んでほしい。

それから、今回であれば、日本陸連ですが、各競技団体の偉い方々。全柔連も、日本ラグビー協会も、すべての競技団体の偉い方たちに申し上げたいのは
地上波テレビの「下手な盛り上げアイデア」に騙されないでください。それは、確実に、ファンを怒らせ、減らします。ツイッターなどの反応をきちんと見てください。
たいていのフィギュアスケートファンは、テレ朝の放送に怒っているでしょう。ほとんどの陸上ファンは昨日の世界リレーに怒っているでしょう。
ほとんどのゴルフファンはTBSのマスターズ放送に怒っているでしょう。ほとんどのラグビーファンは、日本vs南ア戦の奇跡の快挙を放送しなかった日テレを許していないでしょう。

地上波テレビ局の現在のスポーツ放送の在り方は「視聴率」という数字を追うことに目を奪われて、「本当のスポーツファン」を激怒させ、
それだけでなく、今はよくわからない普通の視聴者が、本当のスポーツファンになっていく「スポーツそのものの魅力に気づく」機会を奪っています。

全柔連の皆さん、日本陸連の皆さん、日本ラグビー協会のみなさん、自分たちの競技のもつ面白さに自信をもってください。

テレビ局に対して「くだらない盛り上げ策ではなく、とにかく、一試合、一競技でも多く、試合そのものを、競技そのものを放送すること」を、放送権を販売するにあたって、条件にしてください。

フィギュアスケートであったら、「日本人スター選手の盛り上げVTRや控室の様子を流す時間があったら、外国人選手の試合、競技している姿をきちんと放送してください。」と交渉してください。これは多くのフィギュアスケートファンもそう思っている、賛成してくれると思います。
全柔連であったら、例えば選抜体重別のような国内大会であれば、「過去のメダリストだけに注目するのではなく、できるだけ全部の試合、全部の階級を放送してください。思わぬスターが登場する瞬間を逃さない様にしてください」と交渉すべきです。日本の柔道のレベルの高さは、メダリストと互角の選手がどの階級もひしめいていて、メダリストだって国内大会だ勝てる保証は全然ないほどすごいのだ、ということが伝わる放送にしてもらいましょう。
ラグビーワールドカップにあたっては、「日本戦以外の試合をきちんと放送すること」を徹底してください。南半球の、ヨーロッパの、太平洋の島の人たちの、それぞれのラグビーの楽しさが十分伝わるようにしてください。そうすれば、そういう国と日本の試合を見る楽しさも何倍にもなりますし、もし、日本が一次リーグで敗退することになっても、決勝トーナメントも盛り上がって、視聴率も取れるようになるでしょう。そのことが、今後の日本ラグビーの育成にどけだけ大切なことかを、ラグビー協会の皆さんは真剣に考えてほしいと思います。

今の、地上波テレビ局のスポーツ担当の考え方は、古いし、はっきりと間違っています。スポーツファンがどんどん離れていく内容です。「コアなファンはどうせネット中継に流れるんだから」と、視聴者をバカにしたレベルの低い放送内容にどんどん流れていって、自分たちの首を絞めています。

そのことが象徴的に表れたのが、昨日のTBSの「世界リレー」の大失敗放送だったのです。」
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大晦日のテレビ 感想 主に格闘技 [スポーツ理論・スポーツ批評]

あけましておめでとうございます。
大晦日のテレビ、みなさんの投稿では紅白について話題ですが、私はいまだに「大晦日と言えば格闘技」なので、紅白は耳で聞きながら(おお、MISIAのロングトーンすげー」とか思いながら)、「井岡四階級制覇なるか&サスケ完全制覇なるか」TBSと「RIZIN14」フジテレビ の方をメインで見てました。格闘技マニア向け感想。

① 井岡一翔×ドニー・ニエテス。どちらもストロー→ジュニアフライ→フライの三階級世界王者となり、この試合で四階級制覇を狙う超一流ボクサー同士。この試合、ダウンシーンひとつもなく12ラウンド判定になったのだが、ものすごかった。何がすごかったって、お互いのディフェンス技術がうますぎて、パンチがほとんど当たらない。ものすごい数、お互いにパンチを至近距離で繰り出しているので、「おたがいに手を出さない凡戦」では全くないのだが、とにかくお互いディフェンスがうますぎてパンチが当たらない。12ラウンド戦っても二人とも顔が全然腫れていない。パンチの打ち方の差、強くインパクトする打ち方をするニエテスの方が、有効打が多かった印象を与えることに成功して、判定でニエテスが勝ったが、まあ、ボクシングマニアには超面白い試合でした。普通の人が見ると、全くつまらなかったと思いますが。
②RIZIN14の、宮田和幸×山本アーセン。昨年は山本KIDが若くして亡くなるという私にとってはショックな出来事があったわけですが、KIDに跳び膝で3秒KOされたことで人生が狂ったともいえる宮田和幸と、KIDの甥っ子アーセンの対決。格闘技人生から引退する最後の試合で、山本KIDとの因縁を清算したい宮本と、KIDの魂を引き継いで最強への道を歩みたいアーセン。試合は、パウンドを取るときに前に重心がいきすぎるアーセンの欠点をとらえて宮本が腕をとって関節を狙う、という展開で、結局、アーセンが押していたのに、肩を極められて負けた。我が家では柔道家の三男と、居間で技術再現取っ組み合いをしながら見ました。アーセン未熟。KIDはもっと寝技もうまかった。宮田は、人生の何かを清算した、なんともいえない表情をしていて印象的でした。
③浅倉カンナ×浜崎朱加。浅倉カンナちゃんは、天心くんの彼女なのだが、残念ながら負けちゃいました。
④という中での、天心くん、メイウェザーとのボクシングルールでの対戦。負けちゃったけれど、キックボクサーがキック使わずにボクシング技術だけで、世界最高のボクサーと対戦したら、負けるに決まっているので結果は当然でした。これで天心君がキックボクサーとしても弱いと思ってしまう人が出てくると困るので言っておきますが、天心君はキックボクサーとしては本当に天才です。UFC日本人最強の堀口恭司ともキックルールでなら勝っている。(だから堀口が弱いわけではない。UFCルールなら堀口は圧倒的に強い。)格闘技というのは、ルールの違いで有利不利が大きく変わります。ボクサーが総合格闘技ルールでは弱いのも、そのせいです。
 というわけで、メイウェザーが今までの印象以上にパンチが強いことが見られたのと、天心君の勇気が見られて、大変面白い試合だった、というのが感想です。格闘技オタク的に試合内容をちょっと分析すると、メイウェザーが天心君のこと壊さないように、事前ルール合意で、メイウェザーは10オンス、天心君は8オンスのグローブをつけていて、8オンスのグローブというのはかなり薄くてペラペラなので「痛い」「折れる」「切れる」「ボディが効く」という意味では危険なのですが、10オンスは柔らかいけれど重たいので、頭部に当たると「くらっ」とくるという特徴があります。なので、メイウェザーは、天心君のテンプル(こめかみ)や頭のてっぺんをかするようなパンチをわざと打っていて、天心君の首ががっくんがっくん揺れて、かなり強烈な脳震盪的ダメージがあって、そのためにあのような倒れ方、立とうとしてもがくが壊れた人形のようにばたばたのたうちまわってしまう、ということになったのですね。

そして、下に紹介した映像、イベントエンディングで出場選手がリングに上がったところで、涙が止まらない天心君を、隣の浅倉カンナちゃんがペチンとしながら慰めるの動画。高校生カップル的かわいい感じが最高でした。

紅白は年が明けてから録画で見直しましたが、桑田さんにブチューとキスをして、腰をくねらせまくる(胸騒ぎの腰つきを表現し続ける)ユーミンのことを、松任谷正隆さん(ユーミンのステージのとき真ん中でつまらなそうな顔をしてキーボード弾いていた)が、「ええかげんにしなさい」と止めに出てきたら面白かったのに、と誰かがツイッターでつぶやいていたのと同じ感想を抱きました。サラブライトマンさんが小林幸子枠になっていたのも面白かったし。MISIAの超ロングトーンに対抗するにはこれしかない、と、ゆずがマイクを外して生声で会場に歌いかけたシーン、会場客席の音を拾うマイクの音をミキサーの人がすかさず上げれば、ゆずの「生声」すごい感、伝わったのに、単に放送事故みたいに無音になってしまいました。あれはNHKのミスだ、と妻が怒っておりました。かつての和田アキ子みたいに、マイクなし生声チャレンジする人は出てくるので、そのときの対応がなっていない。でした。

引用 浅倉カンナと天心君動画はこちら
アキヒロ!@プロレス&格闘技専用 on Twitter
“大晦日のRIZIN14のエンディングで、涙が止まらない那須川天心をペチンする浅倉カンナ。 二人とも日本格闘技界の至宝。…
https://twitter.com/Akihiromma/status/1080004795325341696
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グランドスラム 丸山城士郎、阿部一二三を破る。 [スポーツ理論・スポーツ批評]

柔道グランドスラム大坂 初日、テレビ東京の番組づくりは、初めから「阿部一二三、阿部詩 兄妹世界チャンピオンが、今大会も優勝して来年の世界選手権代表も決定、そして東京オリンピック代表一直線」という台本にのっかって、二人以外の選手の試合をほとんど流さずに、無駄に二人の様子を追いかけた映像をダラダラ流すという最悪の内容。

柔道は、特に日本の柔道のトップ選手の層はおそろしく厚く、世界選手権王者だろうとオリンピック金メダリストだろうと、国内のライバルが多数出場する試合で勝つのは至難の業。民放が、「メダリストが必ず勝つ」という筋立てて番組作りをしてはズッコケる、というのを過去も繰り返しているのに、反省をする気配がカケラもないのはどうしたことか。

と、私が腹を立てるのには、個人的思い入れもある。阿部一二三と同階級のライバル、丸山城士郎は、私の三男の中学、高校の同級生。単純な同級生ではなく、高校の1~2年のときは、城士郎と、一歳上の兄剛毅、ふたりの朝練パートナーとして、部活時だけでなく、朝も一緒に練習した間柄。
 丸山兄弟は、バルセロナ五輪代表の父を持ち、金メダルを取り損ねた父の夢を果たす、というドラマを背負って、小学生中学生から高校大学ずっと兄弟そろって日本一で居続けた超柔道エリート。九州から親子で出てきて神奈川桐蔭学園中学に入学したが、その環境が「甘い」といって、中学三年で県内の強豪中学、相原中学校に転向していってしまった。それなのになぜか高校では桐蔭学園に戻ってきた。(ここで、今年の73世界選手権王者、アンチャンリンと同学年・同階級となり、後に二人とも世界ジュニア王者になる二人が、県大会への出場をかけて校内予選を戦う、という、異常にハイレベルな切磋琢磨をしていたのだ。)
ところが、自由人の城士郎君、高三になるところで、AKBではないのだが、部の「恋愛禁止」的不文律に触れたのか? うーむ、細かいことは,ようわからんが、九州の高校に転向することとなった。というわけで、うちの三男と桐蔭学園で一緒に柔道したのは中高6年のうち、4年間だけ。とはいえ、中学から同じ寮で過ごした同期は6人ほど。丸山兄弟への思い入れは、私も、三男も、深いものがある。

 その後の城士郎、天理大学に進み、リオ五輪代表争いがかかる大会で、阿部一二三を下して、阿部の五輪代表は阻止したものの、自身はその直後のグランドスラム東京で膝靭帯を損傷する大怪我で代表争いから脱落。

 東京を目指して再起を果たし、五輪後の各種国際大会でも十分な実績を積み重ねつつあったところに、阿部一二三の急成長。城士郎は、昨年の東京グランドスラム決勝で阿部に敗れて世界選手権代表を逃し、世界選手権落選組が出場するアジア大会でも、韓国アンバウルに敗れて銀メダル。阿部一二三は世界選手権で同じアンバウルを下し(準決勝、そのまま)優勝。直接対決だけでなく、「アンバウル」という世界のライバルとの勝敗でも、阿部一二三と城士郎の間には「決定的な差」がついた。
 
 今回の大坂グランドスラムで、もし阿部が優勝すれば、来年の世界選手権代表も阿部に決定。ここで城士郎が負けてしまえば、東京五輪への道は、完全に途絶えてしまうところ。年齢的にも現在25歳。東京の次の五輪は絶対無理。

 父の取れなかった金メダルを取る、という目標でやってきた城士郎の五輪への道は、今日の試合で負けたら、ほぼ完全に終わってしまう。

 これだけのドラマを背負った城士郎の挑戦に、ひとかけらも触れず、阿部一二三を東京五輪のヒーロー、「顔」として盛り上げる演出だけをするテレビ東京の番組づくり。

 実際、城士郎と阿部が決勝まで残ったのだが、阿部一二三の試合は初戦から準決勝まで、全試合を何度も何度もしつこいほどに繰り返して放送したのに、城士郎の試合は、一試合も、どころか、ほんの一シーンも、一本を取って勝ち上がったシーンのひとかけらすらオンエアされることなく、決勝戦の放送となった。東京五輪の顔に阿部一二三を使って盛り上げる方針はすでに決定済、他の選手を映すわけにはいかない、とでもいうような扱いなのだ。

 そして迎えた決勝戦。城士郎は、阿部の技をすべて完封し、ゴールデンスコア、巴投げ技ありで、城士郎は勝った。
胸のつかえが、全部とれたような、本当に、正直、「どうだ、みたか」と叫んでしまった。

 もちろん、まだ、全日本チーム首脳陣の評価は阿部一二三の方が上。しかし、世界選手権代表争いは、今後の国際大会から、来年の選抜体重別まで続くこととなった。城士郎が五輪代表にたどり着くには、この後の国際大会も、阿部との直接対決も、圧倒的内容で勝ち続けなければならない。アンバウルに負けることも、もちろん許されない。代表にたどり着ける可能性はまだ低い。

 それでも、城士郎の挑戦を、今後もずっと応援していきます。
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立川新の「大内刈り」ポイント取ってもらえない事件から考える 「技」採点競技としての柔道の難しさ。 [スポーツ理論・スポーツ批評]

 昨日の世界柔道2018、男女混合団体戦、日本は見事な内容で優勝した。中で一番厳しい戦いだったのが、準々決勝、地元アゼルバイジャン戦。そして、その中でも、もし落としていたらまずかったのが、ゴールデンスコア3分13秒までかかった、立川新vsオルジョフ戦。最後、大内刈り、技ありできまったのだが、この技、本当なら一本をとっておかしくない。しかし、それだけではない。実は、この試合、開始15秒で、まずポイントを取ってもおかしくない大内刈りで相手を横倒しにしている。が、ポイントなし。さらにゴールデンスコアに1分23秒、完全に一本ある大内刈り、少なくとも柔道を知っている人なら全員が技あり以上を付けるだろう技に、ポイントなし。そして、最後の完全な一本大内刈りも、技ありどまり。
 この試合の審判、見た目、東アジア系の女性審判(日本人は日本の試合の審判はしないはずなので、モンゴル中国韓国北朝鮮か、旧ソ連のカザフとかあたりの人かと思うのだが)なのだが、「地元びいき、アンチ日本の判定か」などと騒ぐつもりは、私には全然なく、そうではなくて、この審判、おそらく、「本当に大内刈りが決まるとどうなるか」を知らなかったのだと思う。と書くと「えー、大内刈りみたいなポピュラーな技、国際審判員の、しかも世界大会で審判するような人が知らないわけないじゃん、馬鹿じゃないの」という人がほとんどだと思うが、私がそう思った理由をこれから、長くなるが書いていきたい。
 あの篠原×ドゥイエ戦の誤審も「内また透かし」には、どんな種類があり、それぞれの形では、決まると、どんな形で「技をかけた方」と「かけられた方」が転がるか、についての知識が、あの主審になかったために起きたのだと思う。今回も、「よくある普通の大内刈り」ではなく、「めったにないすごい大内刈り」が決まると、かけた人、かけられた人が、どこにどんな状態で倒れるか、について、残念なが、この審判は、見たこともないし、判定したこともなかったのだと思う。
 かなり脱線したところから話を始めたい。柔道は、技術が高度化複雑化しているのに、技の名称は、初めに加納治五郎が分類整理したときから、あまり増えていない。つまり、現在、かなり違う原理で、かなり違う決まり方をするいくつかの「まったく別の種類の技」を、便宜上、ひとつの技の名称でくくっている。有名なところでは、俗称「韓国背負い」は、背負い投げとは全く別の動作と原理で投げる技だが、決まり技分類上は、「背負い投げ」である。
 また、柔道の技には、「似た形の技」があって、似ているけれど、有名な名前と、なじみの薄い名前がある。そして、本当はマイナーな方の投げ方で投げていても、メジャーな名前で分類されているうちに、メジャーな名前の技の中身の幅が広がってしまう、という現象も起きている。
 具体例でいうと、朝比奈沙羅は一昨日、ほとんど全部の試合を「支えつり込み足」で勝った。相手の足首付近に自分の同側の足裏を当てて、そこを軸に手前に引っ張り出して相手を回転させ倒す技だが、この足を当てる位置が膝になると、本来、名称は「膝車」になる。膝まで足をあげるため、やや攻撃側のカラダ位置が遠くなり、脚が伸びた状態になる。
 一昨日の決勝戦、朝比奈の足裏は、相手の膝にはいっている。膝車である。ただしカラダの位置がさほど遠くなっていないので、技のシルエット全体としては支え釣り込み足的に見える。そこまで、放送も、決まり技を発表してきた審判団も「支えつり込み足」と朝比奈の技を呼び続けてきたので、「膝車かも」というような議論は特に起きない。
 66キロ級で圧勝した阿部一二三。圧倒的に強い天才であることに異論はないが、彼の技を「背負い投げ」というのには、私は抵抗がある。阿部一二三の「背負い投げ」と呼ばれている技のほとんどが、「釣り込み腰」である。今、ふつう、「釣り込み腰」というと、みな、袖をもっての逆回転技「袖釣り込み腰」しか思い浮かべないが、背負いと同じ方向に回って投げる「釣り込み腰」という技が存在する。背負い投げとの相違点は、前から見た時に「くの字」に腰を曲げて、お尻を相手の体の向こう側まで突き出し、自分の体側に巻き付けるように相手を前に投げる点である。袖釣り込み腰の多くがそういう決まり方をすることを思い浮かべれ、それを背負い投げの襟と袖の持ち方でする、と理解すればわかりやすい。
 今回の阿部一二三の決勝戦、直前に妹が金メダルを取ったので、気負いに気負って無理やり投げようと技をかけまくると、技のクセが非常によくわかる。カラダが「くの字」に曲がって、腰を相手の向こう側まで押し入れようとする動作がはっきりとわかる。しかし、袖をつらないただの「釣り込み腰」という技は、なじみのない、マイナーな技であるために、阿部一二三のあの技は、一般には「背負い投げ」として知られるようになっている。
 私がなぜこのような細かい名称について、くだくだと文章を書いているかというと、阿部一二三のあれが背負い投げだ、となってしまうと、柔道をする子供たちが、あの形のマネをするようになる。あの形でうまく投げられれば良いが、普通、あの形で背負い投げを練習すると、肘を故障しやすい。古賀稔彦選手も背負いの名手と言われ、阿部選手の背負いの形は古賀選手に似ている、と言われるが、まさに、古賀選手は、あの「腰を入れる」形で両手の背負いを練習したために肘を壊し、あの形で無理のかからない一本背負いの名手になったのである。
 背負い投げを肘を壊さずに習得するなら、野村忠弘氏と、そのおじさん豊和氏(オリンピックの金メダリストである。)、歴代柔道家最強説もある、藤井省太先生など、天理大学で継承研究され続けてきた背負い投げか、秋本、粟野ら、桐蔭学園→筑波大系の背負い投げを教科書にするのがよい。これらの背負いと阿部一二三の背負いを比べれば、形がはっきり違うことがわかると思う。
 背負い投げと並んで、今、もっともよくみられる内股についても、本当に内股本来の形(跳ね上げつつも横に回す)で内股を使ったのは、故・斎藤仁さん、吉田秀彦さん、近くは上川選手などごく少数で、現在、主流の内股は「跳ね腰」という別の原理の技、動作をしながら、脚のかかる位置が股の内側にあるという一点で「内股」と分類されている。これは「跳ね腰内股」という別の技術であって、そちらの方がかける機会が多く決まりやすいために試合では多数見られ、そういう内股しか見たことがない審判というのが海外などでは存在するはずである。井上康生監督、羽賀龍之介ら、東海大学系統の「豪快跳ね腰内股」が正統な内股だと思っている柔道関係者は多いと思う。違う。上川の形がいちばん美しく、かつての斎藤仁選手世界選手権での内股が、最も美しい。

 さて、大きく遠回りをして、立川の大内刈りの話に戻る。大内刈りというのは、「相手の足を、内側から同側の足で刈って、後ろに倒す」技として一般に理解されている。後ろに倒すので「押し倒す」技と思われている。だから「下がる相手にかける技」と思われている。本当は、全部違う。しかし、現在みられる大内刈りの99%は、こういう「違う原理」でかけられる。足を引っかけて、ケンケンしながら押し込んでいって、後ろに押し倒す。そうやって勢いをつけて豪快に倒れた時だけ一本になるが、そうでないときは「勢いが足りない」として技ありどまりになる。
 審判の技理解が間違っているから、本当の、今やめったに見ることのない本当の大内刈りが出た時に、何が起きたのかわからず、「捨て身技で自分から倒れたの?ならポイントなし」みたいな判断になってしまうのだ。
 今、ありがちな大内刈りは(逆組手の試合で多発されるが)足を刈ったら、もう一本の、着地している足の方に、相手をどんどん押していく、ケンケンしながらどんどん押していくと、相手は、どちらかというと、内股をかけられたような形で横倒しに回転しながら倒れる。順組手でも同様で、脚をかけて、ただ真後ろに押していく。
 本来の大内刈りは、脚をかけて、脚を横手前に引き出しながら、脚の着地していない方に重心をかけていく。自分の右足で相手の左足を刈ったならば、二人の足が宙に浮いて支えを失っているところに二人の重心を合わせて持っていくように動作する。と、真下に、垂直落下するように、相手が倒れる。大内刈りは、遠い後ろに相手を倒す技ではなく、真下に相手を叩き落すように倒す技なのだ。
 このような大内刈りを使える選手は、非常に少なく、女子ではかつて阿武教子選手などがいたが、最近はほとんど見ることがない。
 そんな中、立川選手は、(もちろん現代的な大内刈りも使うが)、古典的な、絶滅危惧種的に美しい大内刈りが使えるのである。ゴールデンスコア1分23秒の大内刈りは、まさにそのような決まり方をしているのだが、残念ながら、審判には、何が起きたのか、全く理解できなかったようである。

 さて、私がなぜ、大内刈りにここまでのこだわるのか。それは、長男の大内刈りが、本当に美しかったから。
 
 私の長男、この古典的な大内刈りの名手であった。大内刈りだけでなく、背負い投げ、内股、袖釣り込み腰、一本背負いという大技から、谷落とし、(今や足取り禁止で使われることのなくなった)踵返しなどの小技まで、それぞれの古典的本来的美しさと切れ味で、使うことができた。以前書いたような勉強との両立や桐蔭学園―桐蔭中等学校の分裂騒動の事情で高1はじめに柔道をやめてしまったが、中学3年までの段階での技術的完成度でいうと、かなりのものだった。(強さでも、神奈川県で準優勝、全国強化選手の英剛太郎選手と横浜市大会でも神奈川県大会でも、団体でも個人でも常に決勝を戦っていたので、弱くはなかったが)、技の理合いに則った美しい技を、「形の試合」ではなく、純粋に勝ち負けを競う勝負の中で出せる、という意味で、見ていて楽しい選手だった。
 もし、柔道の試合が、体操競技のように、技ごとに難易度点と実施完成度点が評価されていたら。もし、制限時間内に、何点取れるか、というような、サーフィン競技のような「採点得点競技」で行われていたなら、長男はオリンピックに行けたんじゃないかなあ。
そんな長男の大内刈りも、小中学校の試合では、大外刈や内股というわかりやすく「決まればたいてい一本」とは違って、ものすごくきれいに決まっても、たいてい有効か技ありどまりだったなあ。審判の判断基準が、大内刈りには厳しいんだよなあ。試合のたびに、息子の技の見事さと、審判の大内刈り評価の低さにいつもいつも腹を立てていた。そんな記憶を、昨日の立川新の試合が思い出させたのでした。

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大坂優勝と、セレナのコーチング違反について。錦織ジョコビッチについても・ [スポーツ理論・スポーツ批評]

女子では四大大会以外では、コーチングが認められている試合もあるが、四大大会では男子も女子もコーチングはルール上は認められていない。とはいえ、ジョコビッチなんかは、うまくいかないと、コーチ・陣営のいる方に向かって大声で何かを言ったり不満の身振り手振りをよくする。一昨日の錦織戦でも、そんなシーンは何度も見られた。過去にも、ジョコビッチはコーチングを受けている疑惑を何度も指摘されている。(あのとき、コーチ陣は、反則を取られないように下を向いたり、指示と受け取られそうな身振り手振りは絶対しないようにしているのだろうか。)そんな、コーチング禁止ルールがあいまいな運用をされることが常態化している中で、今回の試合の審判が、いきなり厳密にそこをとったので、こんなことになったのだ。それはなぜか。理由があると思う。それを書いてみたい。
 ジョコビッチもセレナ・ウィリアムスも、感情を爆発させること、フラストレーションを爆発させることで、ゲームの流れを自分に引き寄せるという、日本人にはあまり理解できないタイプのメンタルコントロールをする選手だ。日本人にとっては、今回の大坂のように、どんなときにも冷静に、じっと耐え続けることがメンタルコントロールだという理解が一般的だ。しかし、ジョコビッチやセレナは、うまくいかない時は、不満をあらわにする。感情を爆発させる。ジョコビッチは審判に対してというのは少なくて、自分に対して、そして、コーチ陣陣営に対して、大きな声で不満を爆発させる。セレナは、審判にも平気で不満をぶつける。絶対的王者が、感情をむき出しにすることで、実は、対戦相手を威嚇威圧する効果もあるのではないかと思う。二人とも、感情を爆発させたことをきっかけに、試合の流れを自分に引き寄せることが、結構ある。
 今回のセレナは、第一セットから、明らかに劣勢だった。テニスの実力として、大阪が上回っていた。これは、セレナの予想外、想定外の事態だったと思う。今大会の大坂をずっと見てきたが、準決勝の、ブレークポイントを6回はねかえした第二セット第二ゲームが象徴するように、一戦ごとにプレーもメンタルも驚くほど成長し、決勝コートに上がった時には、セレナを圧倒する実力者になっていたのだ。
 その、想定外の、実力的に圧倒されている状態を跳ね返すには、セレナにはもう怒りを前面に出して周囲を威嚇することで、大阪を委縮させる、それしか、挽回する手が無かったのだと思う。主審は、その意図を見透かし、そのような卑怯な威嚇行為で劣勢を挽回しようとするセレナの行為に対して、ペナルティーで1ゲームを大坂に与える、という、異例に厳しい処置をとったのだと思う。
 表彰式でのセレナの「ブーイングはやめて」のスピーチで、セレナへの好意的評価をする意見が多く語られているが、「コーチングへの1ポイントペナルティ」をきっかけとして、怒りと威圧で試合の流れを引き寄せようとしたセレナの戦術は、褒められたものではないと思う。それに全く動じなかった大坂は本当に立派だった。
 錦織は、ジョコビッチを大の苦手とし、今回も、準決勝で完敗を喫した。今大会、錦織のプレー内容は、準々決勝まで、錦織史上最高といっていい充実した内容だったと思う。ジョコビッチ戦も、ひとつひとつのプレーの質では、ジョコビッチと互角に見えた。しかし、一試合トータルで見ると、勝負所での一ポイント、というところで、ジョコビッチのメンタル、集中の強さに、必ず負けてしまうのだ。錦織がジョコビッチの壁を超えるには。錦織がこの大坂ーセレナ戦をどんなふうに見て、何を考えるのか、とても興味がある。若い大坂と比して、28才の錦織が本当のトップにいられる年数はもう限られていると思うが、31才のジョコビッチもそれは同じ。二人がトップレベルでいるここ数年のうちに、再びグランドスラム決勝で対戦し、錦織の勝つところ、優勝するところが見たいなあ。そんなことを考えた、全米オープンでした。
関連ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20180909-00096245/




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ワールドカップロシア大会 facebook投稿記録29 クロアチア×デンマーク戦とブラジル×メキシコ戦の感想 [スポーツ理論・スポーツ批評]

原 正樹
7月3日 17:20 ·
感想書いてなかったから、クロアチア×デンマーク戦と、ブラジル×メキシコ戦の感想、軽く書いておこう、忘れないうちに。
 デンマークは本当にいいチームで、試合内容は7割がた支配していた。日本とともに、勝ち上がる価値のある試合内容で、残念ながら敗退した好チームでした。PK(延長の中の、モドリッチが止められた奴と、PK戦と、両方)にばかり注目がいったけれど、デンマークのサイド攻撃はよく機能していた。
クロアチアはモドリッチが疲れ果てて、よたよたになっていて、機能低下していました。そのモドリッチ、PK一回外していたのに、PK戦で再び出てきたその勇気にまず感動。それから、PK戦の直前の円陣でラキティッチが「ルカ(モドリッチのこと)はここ何年も、ずっと僕らを救ってくれて来た。だから、今回、今は、僕らがルカを救う番だ」と熱く檄を飛ばしていた、という話を後でネットで読んだうえで、もう一回、試合を見直すと、本当にラキティッチがものすごく熱く語り掛けていて、もう感動して、見ていて泣いてしまいました。そのラキティッチが最後のPKを決めたのですから、カッコよすぎです。一方の、シュマイケル親子。もうシュマイケル父の気持ちに共感同化してしまい、チームとしてはクロアチアに勝ち上がってほしいのに、PKではシュマイケル頑張れって、どういう気持ちになっていいのか全然わからず、もう、本当に大変な試合でした。
 ブラジル×メキシコは、レジェンド、マルケス39才(かつてバルセロナのセンターバックも務めた、ずっと代表キャプテンとしてワールドカップにもう今大会で5回連続で出ている)
が先発で出てきたので、「おいおい、日本で言えば、カズを出すくらいの話じゃないか。しかも、グループステージ韓国戦終盤に余裕こいてマルケス出したら、点を取られて、得失点差悪くして、勝ち抜け黄信号の原因になったじゃん」と思ってとても不安に思いながら見始めたら、ところが、これがものすごくよく機能して(センターバックじゃなくて、ボランチでの起用があたった。)メキシコなかなかいいじゃないか。マルケスなかなかいいじゃないか。と思って前半終了。しかし後半始まってみたら、マルケスは下げちゃうし、攻撃のエース、エルナンデスは怪我でいなくなるしで、そのあとはブラジルの一方的展開でした。
 フランスとブラジルは、ともに圧倒的に強いのですが、サッカーの質がものすごく違う。フランスがピッチを広く使って、ピッチ全体にすごくきれいに絵を描くようなサッカーをするのに対し、ブラジルは、ペナルティエリア周辺と中に入ったところでの狭いエリアでのスピードと技とが、異次元のすごさ。この2チームが、勝ち上がると準決勝で当たるなあ。それが事実上の決勝戦かなあ、と思います、(とはいえ、フランスがウルグアイに、ブラジルがベルギーに勝つ保証なんて、何もないのだけれど。)


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ワールドカップロシア大会 facebook投稿記録28 日本×ベルギー戦 後の世界のサッカーファンの声に思うこと。 [スポーツ理論・スポーツ批評]

原 正樹
7月3日 14:40 ·
世界の人がどう見たか
https://kaikore.blogspot.com/…/2018-world-cup-japan-vs-belg…

世界中のサッカーファンが日本のサッカーに驚き、魅了され、応援してくれていました。本当に、読んでいると涙が出てきます。

KAIKORE.BLOGSPOT.COM
ワールドカップ 日本 VS ベルギーの実況翻訳(海外の反応)
2018FIFAワールドカップ・ロシア大会で日本がベルギーに惜敗した試合の開始前から終了後までその状況をつぶさに書き込んだ外国人の実況コメントの翻訳。最初から最後まで予想外の活躍を見せ続けた日本代表に対する海外....
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原 正樹 自国の試合だけでなく、日本のような「弱小国」と思われている国の試合でも、こんなに一生懸命見て、内容の良さを理解してくれて、そうなれば本気で応援してくる世界のサッカーファンに感謝。日本人にも、そういう、「ちゃんといいサッカーを理解して応援できる」サッカーファンが増えるといいなあ、と思います。これはサッカーだけじゃなくて、来年のラグビーワールドカップに向けても、同様。南ア戦勝利のときの日本代表を現地イングランドのお客さんたちが大応援してくれたように、来年のワールドカップで、ティア2のロシアとか、島の国々、サモア、トンガ、フィジーなんかが、強豪国を相手に大金星、なんていう試合がきっと出てくると思います。そういう試合に、ちゃんとお客さんがたくさん入って、ちゃんとテレビで放送があって、有名じゃない国のことも、しっかり応援してあげられる日本でありたい。
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ワールドカップロシア大会 facebook投稿記録27 日本×ベルギー戦 終わってみて ホンダの最期のシュートに思うこと [スポーツ理論・スポーツ批評]

原 正樹
7月3日 17:52 ·
あとね、直後に決勝点とられちゃったから、誰もあんまり言ってあげてないけど、最後のホンダのフリーキック。ここ何年のっていうか、南ア大会のときのデンマーク戦以来の、ホンダのベストなキックだったと思う。無回転で、すごいスピードで、ものすごい落ち方で。キーパーのクルトワのスーパーセーブがすごかっただけで、あれは、みんな、もっと褒めていいと思う。今大会前から、いろいろな批判を一身に集めたケイスケホンダだったけれど、プロフェッショナルだったと思う
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